teacup. [ 掲示板 ] [ 掲示板作成 ] [ 有料掲示板 ] [ ブログ ]

 投稿者
  題名
  内容 入力補助 youtubeの<IFRAME>タグが利用可能です。(詳細)
    
 URL
[ ケータイで使う ] [ BBSティッカー ] [ 書込み通知 ] [ 検索 ]


ゾルダⅡ世・王位争奪編15

 投稿者:ゾルダⅢ世  投稿日:2017年 6月22日(木)19時49分44秒
返信・引用
  ―ゾルダⅢ世宅―

「メール中に思いついたアレ、やっぱ書いとこうかなあ。
 パソコンなら、メールより細かく描写できるしなあ・・・
 順番的には、ドラッグストアの前くらいかな?・・・まあ、適当に脳内補完してもらおう」

タイピングしてたゾルダⅢ世が、何かを思い出したように動きを止めて暫し考えに耽り、やがておもむろにタイピングを再開する。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

愛車を走らせてた伊達の瞳がギラリと鋭く光り、次の交差点で鮮やかなUターンを決めて戻って路肩に停め、ネオン煌めく店に入った。
アダルトショップである。愛妻を亡くそうがどうだろうが、自然と溜まってしまうのが男の性。まして伊達なのだ。誰が責められよう。
平日の夜だと言うのに、割と賑わっていた・・・さて、何が良い?JKかOLか?たまには年上の女優が出演してる人妻モノにしてみるか?
それともアイドルからAVに転身した娘のデビュー作を買って、ぎこちなくて初々しい初カラミを堪能するか?

「・・・・・・・・・・なにいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!??」

くまなく店内を回ってた伊達は、何時しかスカトロ物コーナーに来ていた!!普通に可愛い年頃の女性が、恥ずかしそうな表情で尻を向けて
「それ、成長しきったアオダイショウ?」ってくらい巨大な一本物を捻り出してたり、甚だしいモノになるとウンコまみれでSEXしてたり、
ウンコを食ってたりしている!!伊達は呆然とした表情で、並んでる商品を次々と手にしては眺めてたが、やがて怒りに満ちた目を棚に向けてから
「バァン!!」と叩きつけるように商品を元の場所に戻して、クタクタ脱力して座り込んでしまった。店員が『気の毒な人を眺める目』で伊達を眺めている。

「ぬうううう・・・・・
 ウンコを垂れるだけでも許せないのに・・・・ウンコシーンのDVDを製作して、
 売り飛ばして荒稼ぎする輩までが、こんなにも存在するとは・・・・変態共め、許すまじっ!!」

もっぺん片っ端から手にしては裏側を眺め、制作会社の名前を全て頭に叩き込んでから店を後にする!!会社の住所は、スマホで検索したら簡単に解った。
荒々しく愛車のアクセルを吹かし、チェンジペダルを踏み降ろしてクラッチをスパッと繋ぐ!!高々と前輪を持ち上げながら夜の街へ飛び出し、
オレンジ色の街灯が煌めく幹線道路を風の如く疾走し、追いついた車やバイクは片っ端から抜き去る。やがて、1番近所の目的地に到着した。

「変身っ!!」

雑居ビルの窓からミラーワールドに飛び込み、目的のDVDメーカーが賃貸してる部屋で現実世界に戻る!!新作の編集作業に追われてた社員達が
ポカンとしてるのを眺めながら、エクサハルバードを召喚!!まず、目前の机に向かってた男の首を跳ね飛ばす!!一拍置いて悲鳴が響き渡る!!
殺戮の宴が始まった・・・・・・・そして数分後、『仮面ライダー1号で本郷猛が復活するシーン』みたいな感じで、燃え上るビルを背にしたシャドウが
目だけ煌々と光らせながら悠然と歩く姿があった。変身解除して振り返り、燃え盛るビルを冷たい瞳で一瞥してから愛車に跨り、次のターゲットを目指して
走り去った・・・・・・いちおう言っておく。映像的にはカッコいいけど、やってる事は『スカトロ物DVDメーカーの殲滅』だ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

区切りの良いとこで中断し、一服して戻ったら何故かジャンヌが居た・・・タイピングされた文章を興味深げに眺め、何か思い出すように腕組みし、
やがて話を切り出す。(注:ここで『彼女に日本語の文章が読めるのか?』と突っ込むのは野暮である)

「現代人は、ダイベンが忌まわしいですか?」
「ん~~~~・・・・・・忌まわしいっつ~か、単純に臭いしバッチイじゃん」
「まあ、確かに」
「てゆ~かジャンヌも、最近は普通にトイレ使うだろ?登場して直ぐの時は大変だったけど」
「うむ。皆に止められたので、トイレ使う事にした。あとメルト・トンベも封印した」
「それでいいと思うよ」
「とは言っても、私が居た頃のフランスは、ダイベンなど日常あちこちに転がってたからな・・・
 さすがに、身体に塗りたくったり口にしたりして興奮するなんて事は無いが、
 DVDで目にする程度では何とも思わぬ。この伊達と言う男は、潔癖症なのですか?」
「いや、コイツは単なるバカだから」

せっかく訪問してきたのに何も出さないのも気が引けるんで、話を中断してキッチンへ行って、ポテチとコーラを持ってきて勧める。
ジャンヌは礼を言って受け取って、美味そうにコーラを飲んでる・・・こうして眺めてる分には可愛らしい。

「昔のフランスって、おまるにウンコ垂れて窓から棄ててたんだってね」
「そうだ。何処を歩いても臭かったし、踏むのは日常茶飯事。
 アパート街を歩く時は、気をつけないと降ってきて頭から浴びた」
「当事者の証言は、さすがに生々しいな~・・・・
 そ~いやガキの頃『ベルサイユのバラ』ってアニメが、女子の間で人気だったよ。
 俺は良く知らんけど、フランス革命を描いた話みたい」
「ほう、そんなアニメがあったですか?」
「考えたらさあ、女子が『カッコイイ~』『綺麗~』って夢中になってた、
 オスカルとか何だとか瞳キラッキラの美形キャラさあ・・・・奴等のトイレ事情、ロクなもんじゃねえな」
「そうだな。あの頃のフランスは、ベルサイユ宮殿さえ至る所ダイベンまみれだ。
 フレアスカート・ハイヒール・日傘・香水etc.元々はダイベン対策に考案された実用品だ」
「そうとも知らんと女子達は『綺麗なお城~!』『素敵なドレス~!』って騒いでたんだねえ。何か笑える」

ガラガラガラガラ、ドォ~~~~~~~~~~~~~~ン!!!!
ウンコしに行ってた仏7号ダザイ(姿は相変わらず見えない)が、知らない間に戻って俺達の会話を聴いてたのだが、遂に堪りかねて雷を落とした。
ちなみにジャンヌは、次の瞬間にスタコラサッサと電脳世界へ戻ってしまった。

≪だから、もう止めろよっ!!何時までウンコネタで盛り上がってんだよ!?≫
「だって、楽しいんだもん」
≪オメ~等、小学生かっ!!ダザイもう、ビックリだよ!!吃驚仰天だよっ!!
 だいぶメールで盛り上がってたようだけど、まさか掲示板に纏めて投稿するなんて思ってなかったよっ!!
 そんでもって、何なのチミはっ!?いちおう区切りついたのに、まだ付け足して盛り返しちゃうのっ!?
 ツッコミ役の真司が気絶してるからって、作者共までボケっぱなしなのっ!?さっさと話を進めろよっ!!≫

ダザイが頬を真っ赤に染めて半泣きで怒鳴り散らすんで、いい加減にウザくなった。ウンコネタなら幾らでも盛り上がれそうな気がするけど、
この辺で止めて話を進める事にする。


―仏4号宅跡地―

横道に逸れ過ぎなのにも程がある。もう、間違ったウンコの記憶を広げるの禁止!!100歩譲ってメールでは良いけど、ここで書くのは禁止っ!!
さっきの記憶は、抗えぬ力に蹂躙されて倒れた城戸真司に遥の最期がオーバーラップして、それで軽いパニックに陥った状態で敬愛する父親・城戸真司の
カードデッキを使って変身した所為で、ハイテンションになっちゃった伊達のバカが思わず見た幻覚だ!!重ねて言うが、これ以上はウンコネタを広げるな!!
・・・・・よし、ダザイへの義理は果たした。話を本筋に戻すぞ。

「天国で見ていてくれ親父!!仇は俺がとる!!」

・・・・とりあえず『真司が死んじゃった』って言う記憶だけは受け継いでるらしい。いちいちコピペも面倒だから『あの日の忌まわしい思い出』まで
書かないけれども、ようするに伊達のバカは、頭が少々アレなまま精神状態だけ『アナザーファクトで非情の復讐鬼に目覚めた時』に戻っちゃってるのだ。
ドッカンドッカン聴こえてくる方へキッと目を向けたら、ジャンゴローナインとザムシードが、ライディングデカレンジャーロボとデカベースロボと
電子星獣ドルとグランドバースとバビロスを相手に苦戦してる姿が瞳に映る!!隆起はドラグソードを召喚し、「おおおおおおっ!!」っと雄叫びながら
駆けて行った!!

「喰らうっす!!スワニービー・・・・・」
「させないぜ勇気っ!!ドルファイヤーっ!!」
≪ガオオオオオッ!!!!≫
「・・・・うわあっ!?」

とりあえずライディングデカレンジャーロボから仕留めるべくビームを放とうとしたジャンゴローナインに対し、ギャバンが上空から援護攻撃!!
電子星獣ドルの口がカッと開いて、高熱火炎を吐き出した!!そのまま真上から襲いかかって、前脚の爪で引っ掻こうとする!!

≪アドベント≫
≪グギャ~~~~~~~~オッ!!!≫
「うおおおおおおおおおおっ!!!!!」
「何ッ勇気!?・・・・うわああああああああっ!?」

ドラグレッダーの奇襲を受けたギャバンは、バランスを崩して墜落!!そこへドラグソードを手にした隆起が迫る!!咄嗟にレーザーブレードで
迎え撃ち、刃と刃がぶつかり合って火花を散らしながらの鍔迫り合い!!ギャバンが一旦離れて飛び退きながら、シルバービームで牽制!!
見切っていた隆起は、ドラグソードの広い刃で受け流して明後日の方へ飛ばす!!

「ディメンションボンバーっ!!」
「空手パンチっ!!」

互角!!

「スパイラルキック!!」
「空手キック!!」

互角!!

「ギャラクティカクラッシュ!!」
「肘打ちっ!!」

互角!!・・・肉弾戦や剣戟では埒が明かないと見たギャバンは、距離を置いてビーム系の攻撃に切り替えた!!

「シルバービーム!!」
「ぬっ!!」
「シルバービームっ!!シルバービームっ!!シルバービームっ!!」
「くっ・・・・」

ドラグファイヤーしか反撃手段が無いけど、あれは使いにくい「はいカード出します~、それをドラグバイザーに装填します~、ドラグレッダーが
隣に並びます~、よ~く狙ってパンチを放ちます~、ドラグレッダーが口から火を吐きます~」などとやってたら、その間に攻撃を喰らいまくってしまう。
とりあえず、ドラグシールドを召喚して弾き返したり、軌道を読んで横っ飛びで避けたりした。

「シルバービー・・・・・・」
「むうっ!!」
「・・・・・・と、見せかけてレーザーZビーム!!」
「何っ!?」

連射が可能な代わりに威力が低いシルバービームとは、桁違いの一撃が飛んで来た!!ドラグシールドに直撃して吹っ飛ばし、勢い余って隆起も転がる!!
そこへ再び、レーザーブレードを構えたギャバンが迫ってきた!!やっぱり日本のヒーローなんで、最後は必殺技でトドメを刺さなきゃならぬ。
だがギャバンが思ってたよりはダメージを受けてなかった隆起は、ドラグソードとを手に力強く立ち上がって斬りかかってきた!!

「おおおおおおおおっ!!!!」
「ハアアアアアアッ!!!」

上段から斬りかかるギャバン!!身を沈めて、下から斬り上げる隆起!!・・・・・・・・・・・ポトリ。ころころころ。
擦れ違って一瞬置いてから、レーザーブレードを握りしめたまんまなギャバンの手首が地面を転がった!!ギャバンは失った手首から先を眺めて
「信じられない」と言いたげな感じで突っ立っている。隆起は気を逃がさず身を翻して全力で駆け、一瞬で間合いを詰めつつ横薙ぎにドラグソードを振るう!!

・・・・・ポトリ。

首を失ったギャバンの身体が、力無く2歩ばかり歩んで膝からガックリ崩れ落ち、数回の痙攣を繰り返した後、永遠に動きを止めた!!
隆起は背を向けたままチラと一瞥し、次の獲物を狙って走り去る!!・・・・・何だか、いきなり血生臭い展開になっちゃった。
 
 

ゾルダⅡ世・トン騎の結婚編24の4~5話先のネタ?

 投稿者:仮面歩行者  投稿日:2016年 5月 4日(水)15時09分50秒
返信・引用
  > No.651[元記事へ]

小津屋敷の崩壊によって、床下から発見をされた文献=『薩陸村悲話』に眼を通した真司は、大きな溜息をついた。

「薩陸村を離れる前に、【涼村暁之進作・戦場の女神像】を拝みたい。・・・そう言うワケなんだな。」
「ぅん!どんな石像なのか見てぉきたぃしぃ~~!」
「私の窮地を救ってくれたワケですから、礼は伝えたい・・・ジャンヌだ。」
「キリシタン弾圧って事は、今から400年前の歴史有る作品ですからね。・・・亜美で~す」
「なぁ、燕真?オマエも行くのか?・・・城戸だ!」
「あぁ!紅葉や平山さんが行くなら、保護者として、着いて行くしかないと思ってる・・・佐波木です」
「保護者の自覚があるなら、少しは保護者らしくしてくれ!
 オマエがシッカリしないから、オマエの派閥の連中が全員野放し状態って理解してるのか!?城戸だ!」
「何とか頑張るよ!・・・まぁ、そんなワケで、俺達は此処からは別行動をさせてもらうから、
 真司達は先にデブのカレー屋に向かってくれ!」

猛獣のような紅葉を筆頭に、全く役に立たない燕真や、ザコのクセに無駄に存在感を発揮している亜美&ジャンヌが別行動をしてくれるのはしてくれるのは非常にありがたい。この4人(特に紅葉)が居なくなるだけでも、今後のストーリーは、かなり円滑に進むようになるだろう。
・・・が、一抹の不安もある。今章のメイン軸が、そのまま紅葉達に移ってしまう可能性があるのではないか?
今章開始後、未だにスタート地点から動いていないのに、更に、足止めをされるパターンに成り兼ねない予感がする。
真司やデブが目的地に向かう描写が2割、萌獣の描写が2割、残り6割が紅葉達の冒険活劇。場合によっては、特に描写も無く、気が付いたら、デブの実家でカレーを食ってるシーンになっているとか・・・。

「面白そう!私も、ジャンヌの勧誘も兼ねて、紅葉ちゃん達の別行動班に入ろうかな!」
「おぉっ!美穂も、着ぃてきてくれるのぉ!?」
「私の勧誘とは一体?・・・ジャンヌだ!」

しばらく黙って「今後の方針」を聞いていた美穂が、真っ先に紅葉グループに入りやがった。もしかして、この女、嗅覚を働かせて、どっちのチームがメインになって、出番が与えられ続けるかを見極めたのではあるまいか!?

「オマエ等だけでは不安だ!メインのクセに、山中で迷子に成って、今章終了とかありそうで怖い!!
 仕方がない!!俺も行く!!・・・城戸だ!」

そんなワケで、【涼村暁之進作・戦場の女神像】を拝みに行く真司&美穂&ザムシード組と、【デブの実家】にカレーを食いに行く石松&吾郎&あきら&優衣に別れることになったのだが・・・

「チョット、現実問題的に、行きにくいです・・・あきらです」
「俺も同じ事を考えていたっす。石松さんの実家、実は関西や北海道だったって事になりませんか?」
「ぶひぃ!!?今さら!!?」
「それ良いね!英くんの実家は北海道のカレー屋さんにしましょう!」
「ぶひぃぶひぃ!!7~8年前の初登場から、九州弁っぽいのを喋っているのに、今さらばい!?」
「なら、台詞と設定を書き直せば問題ありませんね・・・あきらです」
「勘弁してくれ~~~・・・・・・・・・・・・・・・作者だ!!」
「仕方ないっすね。時間稼ぎの意味も含めて、みんなで御参りに行きましょう!」

・・・と、まぁ、この様な経緯があって、結局は全員で【涼村暁之進作・戦場の女神像】を拝みに行くことになった・・・・・・・・・・が。





―一刻半後・薩陸山の山頂付近―

「異国の者達だべさ!!」
「沢山いたぞ!!」
「引っ捕らえろ!!」
「お代官様に差し出せば、たんまりと褒美を貰えるに違いない!!」

真司&美穂&ザムシード組&&石松&吾郎&あきら&優衣は、洞窟に隠れて、追っ手の村人達をやり過ごす。逃走中にあきらが転倒して捕まりかけた時はかなり焦ったが、吾郎とデブが、村人をブン殴って、辛うじて救出をしてくれた。

「何処に行っただ!?」
「あっちさ、探してみるべ!」
「んだ、んだ!」

村人達は、洞窟には気付かずに、獣道を通って茂みの中に潜り込んでいった。それぞれが、斧や鎌や鋤を持っていて、眼を血走らせていて、真司達を殺す気満々って感じで、非常に物騒である。あと、薄汚い野良着を着ていて、下半身はフンドシ一丁で、頭には髷を結っていた。

デブの実家に行く為に、薩陸村の住宅街を通過したら、民家が藁や板を屋根にしたようなオンボロ小屋ばかりだった。あちこちで、家畜の牛が「モーモー」と鳴いている。最初は、「村内にこんな時代錯誤な地区なんてあったっけ?」と思った。

田んぼに突っ立ってポカンと口を開けて、真司達の通過を眺める村の男達は、皆が上半身は野良着で、下半身はフンドシ一丁だった。最初は「全員、伊達の配下か?」と思った。

だが、違った。村人の1人が「熊童子家来のバテレン人がオラ達の生き肝を取り来おった!」と捲し立てた途端に、農作業中の村男達の目付きが変わった。

しかも、「お光さん」と言う名の、あんまり可愛くない村の権力者の娘が「ワダシより綺麗な娘っ子なんぞ、生かしておくなだす!」と号令を掛けやがったもんで、村人達が、農耕具を手に取って、襲い掛かってきたのだ。言うまでもなく、美穂も、あきらも、紅葉も、亜美も、ジャンヌも、権力者の娘よりも数倍は美人だ。もちろん、優衣ちゃんだって、権力者の娘と比較して・・・・・・え~~~~っと・・・まぁ、それなりに、あれだ。

そんなワケで、真司達御一行様は、ワケも解らずに指名手配される立場になってしまった。

時は、今から遡ること400年前の江戸時代。徳川3代将軍の治世で、キリシタンへの弾圧が激しさを増している。日本人なんだけど、異国の格好をした(21世紀人の)真司達は、薩陸村の人々から、同じ人種とは見なされず、村に着いた途端に追い回されるハメになる。ジャンヌに至ってはモロにガイジンである。言い訳のしようが無い。つ~か、キリシタン扱いで追われているのか、美少女が沢山いるから目の仇にされているのか、よく解らん。とにかく、村男達の血走った眼が怖い。‘捕まりやすい’属性を持つ亜美や、露出狂のあきら辺りが捕まったら、多分その場で押し倒されて、村男達から鬼畜なエロビデオみたいな行為に及ばれてしまうだろう。つ~か、涙眼で逃げ回ってる亜美は、まぁ正常として、あきらは、ワザと逃げ遅れそうになったり、逃走中に転んだりして、まるで捕まることを望んでいるような気がしないでもないが・・・。

どうして、こんな事に成っているのだろうか?

崩壊した小津家を発ったのが3時間前。【涼村暁之進作・戦場の女神像】を拝見したら、【戦場の女神】像ではなく、剣を持って乳首に宝石がはめ込まれた【全裸の女体】像だった。涼村暁之進と言う男は、文献通りの男ではなく、ただの助平なのかもしれない。まぁ、古い文献だし、言い伝えが改変されることはありがちなので、これは良いとしよう。せいぜい、紅葉が【全裸の女体】を見た瞬間に、「ぎゃぁぁっっ!!燕真のヘンタイ!!見ちゃダメ!!」と言いながら燕真の両目を2本の指で突いて、燕真が「うぎゃぁぁっっっ!!」と、20分間ほどのたうち回った程度である。
そんで、しばらく拝んで、「さて、行こうか!」と思って目を開けたら、【全裸の女体】像が切削中の岩の塊になっていて、「ん?」と思いながら洞窟から出たら17世紀(江戸時代)だった・・・何故だ!?



-キャバクラ萌獣-

めふぃ子とベルちゃんは頭を抱えていた。不可能なはずの、疑似空間の続行と、異空間侵入の同時進行・・・つまり、疑似空間を抱えたまま、時の狭間への突入を試してみたのだが、やっぱり無理だった。ものの見事に失敗をしちゃった。

時の狭間に突入した瞬間に、疑似空間が反発をして、時の狭間から弾き出されてしまった。それどころか、変な時の捻れに乗ってしまい、気が付いたら、萌獣アジトビルの周りには、城下町のような風景が広がっていた。

「りんり~ん・・・ここは、17世紀の帝美江洲県・・・この時代の呼び方だと、帝美藩の城下町りん!」
「困っためふぃね。こんな所では、軍資金の荒稼ぎは出来ないめふぃ。
 私達のいるビル以外の全てが17世紀になってしまったのかしらめふぃ?」
「う~~~~~~~~~~~~~~ん・・・
 特殊バリアの影響で時空の歪みに潰されなかったこのビルと、
 標高が高くて時空の歪みに巻き込まれなかった薩陸山の山頂、
 あとは、この地に居るか解らないけど、時空干渉を受けない特異点が居れば、その人くらい・・・りん。
 後は疑似空間全部が17世紀になってしまったりんね。
 もちろん、日本遠征中のゼット姉達は、21世紀の残ったままりん。」
「21世紀に戻る方法は?」
「私達の科学力では無理りん!
 可能性があるとすれば、偶然この空間にいるかもしれない特異点を捜し出して、
 その人に協力してもらって、時の狭間を経由して、元の世界に戻るしかないりん」
「確か、薩陸村付近で、異空間に干渉した記録があっためふぃね?」
「うん!有ったりん!その線で捜索をするべきりんね。
 早速、メトリンちゃんの許可を貰ってこようりん!」
「・・・・・・それは・・・難しいめふぃかも」
「・・・・・・・・・・なんでりん?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

めふぃ子、大きな溜息をついて、窓の外を眺める。メトリンやガッツちゃんやベムスちゃんやバードンちゃん等々、変化をした風景に興味を示した萌獣達は、揃って、サッサと城下町に遊びに行ってしまったのである。

「仕方がありませんめふぃね。メトリンさんには事後報告にするとして、
 修理が終わったばかりのクレゴンさんを連れて、薩陸村とやらに行ってみますめふぃ。」



-薩陸村-

数日前に夕子りんに干物のされて、そのまま旅館内で放置されて居たはずのミッチは、周りの風景を見て眼を丸くする。さっきまで、窓から湖が見える旅館の一室に転がっていたはずなのに、いつの間にか、だだっ広い田んぼの真ん中に立っている一本杉の枝の上に転がっていたのだ。旅館は影も形もない。
フンドシ族は、フンドシ力によって、時の狭間を自由に行き来できる。彼は、その能力(特異点)によって、時空の歪みに巻き込まれてしまったのである。

「どうなっているんだ?」

枝の上から辺りを眺めると、大きな御屋敷が一軒建っている。位置的には、小津屋敷があったはずの場所だが、その形は、光実が知る小津屋敷とは全然違う。
何がどうなっているのか全く解らないが、とりあえずは情報を収集しなければならない。光実は、スルスルと幹を伝って降りて、大きな御屋敷に駆けていくのであった。ちなみに、ミッチはフンドシ一丁なので、真司達とは対照的に、比較的アッサリと、17世紀の人々に馴染める事になる。

小津家は、室町時代(15世紀)から栄え始め、この時代(17世紀)には、辺り一帯の大地主になっていた。
しかし、度重なる飢饉や、戦(キリシタン弾圧によって発生した島原の乱)の為の徴兵で、村は貧困にあえぎ、小津家は、大地主とは名ばかりの、傾きかけた家になっていた。
当時の小津家の当主は、あんまり可愛くない娘のお光を、隣の外陸曽(げりくそ)村の村長・猿見田(さるみた)家の息子・牙萬(がまん)に嫁がせ、色々と援助してもらおうと考えていたのである。

え!?‘下痢グソを我慢してる猿みたいな顔’じゃなくて、猿みたいな顔をした外陸曽村の猿見田牙萬て名前の奴だったの!?



-その頃-

洞窟に隠れて村人達をやり過ごした真司達は、周囲を警戒しながら散策を開始する。村人に追われるのは嫌だが、だからと言って、洞窟内でジッとしているわけにはいかない。飯は、紅葉のYスマフォが有れば何とかなるだろうけど、紅葉のスマフォも含めて、全ての通信機器が『圏外』になっている。まぁ、江戸時代なんだから、当然と言えば当然だろう。はぐれてしまったら連絡を取り合うことが出来ないので、皆は一塊になって、慎重に歩き続ける。

ピ~ロロッピッピ~!・・・ピ~ロロッピッピ~!
突如、真司の携帯電話の着信音が鳴り響く。近くに村人が居て、この音を聞かれてしまったら大変だ。ビクッとして慌てて電話を取り出して着信に応じる真司。

「は、はい!」
〈おう、真司か?〉
「編集長?え!?もしかして、編集長もタイムスリップを?」
〈タイムスリップ!?何言ってんだオマエ!?〉
「気付いてないんですか?編集長達のパソコン、ネットとか繋がらないでしょ?」
〈ん?チョット待ってろ?・・・・・・・・・・・・・・・普通に繋がるぞ!
 おっ!ARASHUの大埜君の主演ドラマ‘世界一難しい鯉’の視聴率が右肩上がり、
 松純の主演ドラマ‘9.99’も好調キープだってよ!
 そんな事より、今、何処だ?直ぐに来れるか?
 尾名君とロシュオ君では、神崎さんの言う恋愛小説は書けん!直ぐにこっちに来て手伝ってくれ!〉
「いや・・・あの・・・直ぐに来いと言われましても・・・・今ちょっと・・・」
〈何だ、オマエ・・・また、ワケの解らない事に首を突っ込んでいるのか?〉
「あの・・・その・・・ちょっとばかり、別の時代に、首どころか全身を突っ込んじゃいまして・・・」
〈やれやれ!相変わらずバカだなぁ~!仕方がない!こっちは俺達で何とかする!
 オマエが暴走をするのはいつもの事だから大目に見るが、危ない事にだけは首を突っ込むなよ!!〉
「ははははは・・・・・・・も・・・もう・・・遅いです。」

プツン!・・・ツー・・・ツー・・・

通話を切り、大きな溜息をつく真司。廻りで様子を見ていた美穂や燕真も、その気持ちを察したらしく、声を掛ける事が出来なかった。
・・・・・てか、誰かツッコミを入れろよ!
「何故、21世紀にいる大久保の電波が、17世紀に届くんだ!?」と!!
宇宙にいても、別の時代にいても、何故か、大久保からの電話だけは、真司に繋がるようだ。

どうやら、大久保や神崎は、この時代には飛ばされていないらしい。17世紀に来てしまったのは、山頂の洞窟に来た真司達だけなのかもしれない。21世紀に戻る手掛かりは一切無いが、洞窟内でタイムスリップをしたのなら、もう一度洞窟に行けば、元の時代に戻れるかもしれない。可能性は極めて低いだろうが、一行は、山頂の洞窟に向かってみることにした。

しばらく歩いていると、自分達以外に、茂みの中をガサガサと動き回る音が聞こえてくる!追っ手の村人か、もしくは獣か!?一行が身構えようとした瞬間!!

「にゃはっはっは~~~!カワイ子ちゃんみっけ~~!!」

友人の亜美を庇うようにして立っていた紅葉目掛けて、素早く襲い掛かってくる人影が出現!!その者は、素早く紅葉の背後に廻り込み、一切躊躇うことなく、紅葉を抱きしめた!!

「にゃっはっは~~~~~!!!!
 発育途中の女子(紅葉)の、子供でも大人でもない体付き!!良き感触だぜぇ~~!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!」

紅葉は、凄まじい金切り声を上げながら、背後から廻された腕を掴んで、渾身の力を込めて一本背負いで投げ飛ばす!!

「にゃっはっ・・・は・・・・はぅぁぁっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!」
「・・・・あ!涼村さん!?」
「はぎゃっぅぁぁぁぁぁぁぁっっっ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」

投げ飛ばされている真っ最中の男は、真司がよく知る人物=涼村暁だった!!・・・が、真司が気付いた直後には、紅葉に投げ飛ばされた暁は、真っ逆さまに谷底に落ちていくのであった。



-数分後-

とりあえず、1回死んで生き返った暁と合流した真司達は、お互いに「何故、こんな所にいるのか?」を話し合う。宇宙編で女体化した暁は、筋肉の愛人としてキングライナーに連れ込まれ、筋肉が去ってキングライナーの主がイケメン狩り軍団に変わったタイミングで、荒野に捨てられたらしい。気が付いたら男に戻っていた。なんのアテもなく荒野を彷徨い続けた暁は、やがて、謎の扉を見付けて、入ってみたら江戸時代の帝美藩の城下町に辿り着いたそうだ。

「・・・なぁ、美穂?当時のイケメン狩り軍団のリーダーってオマエだよな?」
「あ~~~・・・そう言えば、伊達が居なくなった隙を突いて、大幅な人員整理をしたわ。
 要らない子や、生意気な奴や、使い物にならない干物は、全部、電車の外に捨てたっけな。」
「・・・それは、酷すぎるだろう」

そんなワケで、17世紀の城下町に来た暁は、持ち前の適応力でアッサリと、この時代に馴染み、腕の立つイケメン剣士として、帝美藩に召し抱えられることになった。だがそれが拙かった。イケメンで長身で女好きな彼は、とりあえず、帝美城の姫君を口説いて手を出しちゃった。殿の側室何人かにも手を出しちゃった。そんな事情を知らない殿様は、暁に家老の娘との縁談を持ちかけた。もちろん、許嫁に決まった娘にもソッコーで手を出して身籠もらせちゃった。それを聞いた姫が激怒をする。お陰様で、姫とヤッたことや、側室と乱交したこと等々、全部バレちゃった。暁は地位も許嫁も捨てて脱藩したのであった。

「え~~~~~~~~~~~~~っと・・・あの・・・チョット待って!・・・佐波木です」

暁の武勇伝を聞いている途中で、燕真が口を挟む。

「アンタの名前って、涼村暁だよな?・・・佐波木です」
「あぁ!そうだが!」
「涼村暁之進って人と名前が似てるけど、兄弟か親戚か?・・・佐波木です」
「おぉ!なんでその名を知っているんだ!?涼村暁之進ってのは、俺の偽名だ!
 暁って名前じゃ、江戸時代の剣士っぽくないからな!」
「あの・・・涼村さん、念の為に聞くけど、涼村って・・・キリシタン?・・・城戸だ」
「いや、仏教!・・・てか、無宗教かな?なんで??」
「う・・・うん・・・チョットね」

真司&燕真は、所持していた文献『薩陸村悲話』をパラパラとめくって、涼村暁之進が脱藩した理由を確認してみる。文献には、「切支丹の弾圧から逃れて脱藩をした」と書いてあるが、どうやら違うらしい。涼村暁之進は帝美城城中の女達と不義密通を繰り返しまくって、バレたから逃げたのだ。言い伝えゆえに、ある程度の改ざんや誇張はあるだろうけど、ここまで違う事に成っているとは思ってなかった。

「そ・・・そりゃ、逃げるしかないわなぁ~・・・佐波木です」
「逃げてなきゃ、確実に切腹させられてるわね。」
「アンタ、この時代に来てまで、なんちゅ~ことをやっているんだ?・・・城戸だ」
「にゃっはっはっは!つい・・・な!
 だがな、こんな俺でも、少々困ったことになってんだ!
 つい最近、村の大地主の娘に付きまとわれちゃってさぁ~~・・・
 逃げ回ってるんだけど、どうにもしつこくて!」
「ブヒィ!大地主の娘?」
「・・・もしかして、お光さんて名前っすか?」
「そうそう、お光!
 スゲ~不細工なんだけどさ、この村(薩陸村)には、お光より可愛い子がいないんだから仕方ないよな!
 噂では、お光より可愛い子は、みんな、お光に捕獲されて、城下の色街に売られているらしいぜ!」
「・・・お光さんて、最悪だな。
 21世紀の薩陸村にハズレ娘ばかりが多いのは、アタリ娘の血筋が絶滅しているからか・・・佐波木です」
「でもさ、城から逃げ出して、女日照りになって、ムラムラして、
 つい、誰でも良い感じになって、お光に手を出しちゃったんだ!
 そしたら、その次の日から、まるでストーカーのように付きまとってきっちゃってさぁ!
 ありゃ、ザファイア以上にしつこいぜ!にゃっはっはっはっは!」
「・・・・・・・・・・・・アンタ、最低だな。・・・城戸だ」

なるほど・・・『薩陸村悲話』と現実が、だいぶ違うことは置いとくとして、後半だけで急に『悲話』になっちゃった理由は、その空白を真司達が埋めて『悲話』にしなければ成らないという【ミッション】らしい。
①暁に、鬼退治をさせる。もちろん名乗らせない。②暁とお光に仲良くしてもらう。③暁をキリシタンに仕立て上げて、外陸曽村の猿見田家の長男・牙萬を誘導して発見して貰う。④暁を死罪にする。
上記①~④で『悲話』を完成させた後で未来に戻らなければ、タイムパラドックスが発生して、未来の小津家で、仮面ライダージャンヌ・シャンゼリオンフォームが誕生しなくなってしまう。もちろん、暁を過去に置き去りにして、見殺しにするのは、歴史を改ざんしない為には仕方のないことだ。・・・てか、過去に来てまで女ったらしぶりを発揮している暁がムカ付くから、絶対に置き去り&見殺しにする!どうせ、忘れた頃に、当たり前のように未来で生き返ってるだろうけど、とりあえず死罪になりやがれ!

一同は、暁に鬼退治をさせた上で見殺しにする班と、未来に帰還する方法を探す班に分かれて、行動を開始するのであった。

 

仮面ライダーザムシード外伝・粉木STORY激闘編3

 投稿者:ゾルダⅢ世  投稿日:2015年 4月 2日(木)13時50分39秒
返信・引用
  > No.468[元記事へ]

キィィ――――――・・・・――――――ィン

妖怪接近音が響く!赤竜は飢えているのか?こんな場所で奴が襲われたら成す術が無い!!
だが粉木と由依は、追いかけてる男を細かく観察してるうちに“異変”に気が付いた。

(・・・接近音に反応している!?)
(まさか、契約者?)

そうなのである。スーパーカブの男は、明らかに赤竜の接近に感づいてる様子なのだ。
やがて男は、適当な交差点を右に左にとクネクネ走り回って、路地に入ったとこでカブを停車させた。
道の両側には粗末な木造の民家がビッシリと並んでいるが、その窓は全て擦り硝子で何も映らない。
少し離れた正面に建ってる小さな雑居ビルの窓だけが、映すモノとしての役目を果たしてる。

キィィ――――――・・・・――――――ィン
  キィィ――――――・・・・――――――ィン

接近音が大きくなる。赤竜の巨体が、高々と吠えながら雑居ビルの窓の中を飛んでいる。
そしてカブの男は、明らかにビルの窓から赤竜が襲ってくると確信してるようだった。
窓の中を飛び回る赤竜をキッと睨み・・・懐からカードデッキを取り出した!!
粉木が愛車を跨いでサイドスタンドを立てるより早く、由依が飛び降りて男の元へ向かう。
その間に赤竜が、窓から飛び出して男に襲いかかった!!
だが男は、慌てず騒がずカードデッキを赤竜に向ける。 ☆ピカッ バァーン!!
カードデッキに弾かれた赤竜は、忌々しげに「グガァ――ッ!!」と嘶きながら窓の中へ戻った。

「・・・・・うひゃあ~~っ」

粉木はカードデッキを取り出したが、肝心の赤竜は、一旦諦めて飛び去ったらしくて気配が消えた。
あの男・・・他人を巻き込まない上に赤竜が飛び出せる場所を限定させる為に、この路地へ誘い込んだのか?
「パッと見た感じアホそうやけど、なかなか腹が座っとるし抜け目ないやっちゃなぁ」と粉木が思ってる間に、
由依が男の元へ駆け寄って訊ねる・・・行方不明の兄・史郎を探してるから、彼女も必死である。

「あなた・・・・契約者なの!?」
「・・・へ?・・・けいやくしゃ?」
「そのカードデッキ、門崎史郎って奴に貰ったんか!?」
「カードデッキって、この変な箱の事か?門崎史郎って誰だ?」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「俺、昨日“神隠し”の取材で向かったアパートで、これ拾ったんだよ!!」

男は興奮しきって喋りだす。聞けば昨日、世間で“神隠し”と言われてる現象に遭ったらしい男のアパートに行った。
・・・その部屋は、窓に鏡に戸棚のガラス戸まで“映るモノ全て”が、新聞紙で覆われてたそうだ。
異様な雰囲気に飲まれつつも調べてたら、床に落ちてた“箱”を拾った。その途端“鏡の中の世界”が見えるようになった。

「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・偶然だったんかいな・・・」
「しかも、あの化け物に襲われまくり!!」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「どうやら、鏡とか映るモノの近くに居ると拙いらしいな。あの部屋にも納得だ。
 あんた等、何か知ってんのか!?だったら教えてくれよ!!ワケ解んね~よっ!!
 くんくん・・・・ぅゎ~、くっさっ!!頭かぃぃ~~~っ!!参ったぜ、風呂屋にも行けねぇ!!」
「・・・忙しないやっちゃなぁ・・・」
「あ、そうそう。俺『御礼新聞』の嘉戸真治!!“神隠し”の真相を調べてんだっ!!」
「・・・なるほど、ブン屋だったんかいな」
「なあ!?契約者とかカードデッキとか、何の事だよ!?」
「・・・・知らん方が身の為や。悪い事は言わん、この件からは手ぇ引いとけ」
「そうは行くかっ!!俺はジャーナリストだっ!!・・・見習いだけど」
「食い殺されたら、一人前も半人前もあるかいな!ワシ等に任せて、引け言うたら引けっ!!」
「引かねえったら、引かねえっ!!・・・・あ、いけねっ!麗子さんに怒られる!!」
「あっ!?おいコラ、待たんかいっ!!」
「取材?・・・・ひょっとして、貴方の言う神隠しの?」
「聞いた感じ、そんな事件らしい!!じゃあなっ!!」
「頑固なやっちゃなぁ・・・」

嘉戸真治は慌ててカブに乗って、一目散に走り去った。忙しない上に、見た目に合わず頑固な奴だ。
粉木と由依も後を追いかける。赤竜は逃してしまったが、妖怪が出たなら倒して闇蝙蝠に与えなければならん。


―銀座の裏通り―

路地に駐車してるマツダR360クーペに、御礼新聞の女性記者・百衣麗子が戻って来て運転席に乗り込んだ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%84%E3%83%80%E3%83%BBR360%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%9A
その美貌と颯爽とした仕草に、通りすがりの営業マンが思わず溜息を吐きながら眺めてる。場所柄、働く女性は珍しくない。
ただまぁ美貌が群を抜いてた。それと「恋愛も結婚も興味ありません」ってオーラを発する凛とした雰囲気が、逆にそそられる。
実際24歳だから、この時代なら結婚していてもおかしくない。ついでだが、スリーサイズは上から87-61-85だ。
麗子はハンドバックからメモ帳を出して、調べて書いてきた事を読み返し、余りの謎ぶりに頭を捻った。
休憩に出かけたデパートの従業員が、それっきり消えてしまったのである。
不審に思った同僚が更衣室へ行ったら、ロッカーの扉が開けっ放しでハンドバックが転がっていた。
念の為に、彼女が常連としてる近所の食堂や蕎麦屋などへ行ってみたが、どの店も今日は来てないと言う。
ちなみに財布は、置き去りにされたハンドバックの中だ。仮に自分の意志で失踪したにしても、1円も持たず何処へ?
「ってゆ~事は、もしや誘拐か?」と警察を呼んで調べてもらったが、争った形跡も不審な足跡も見つからない。
つまり「ここで消えた」としか考えられない状況なのだ。しかも最近、この界隈で似たような事件が頻発してるのだ。

「神隠しか・・・・おとぎ話みたいだけど、そうとしか思えない・・・
 それより“あのバカ”何処ほっつき歩いてんだろう?とっくに合流してるはずの時間なのに」

あんまり戦力になってない後輩の事を思う。好奇心が旺盛で何にでも首を突っ込みたがるとこは、ある意味で買ってる。
だが時に暴走しすぎて『盆踊りの取材に行って、何時の間にか櫓の上で太鼓を叩いてる』ような事がある。

キィィ――――――――――ィィン・・・キィィ―――――――――ィン・・・

道端にビッシリと並んだ車の“ボディーの中”に、奇怪な化け物が現れた。そして、刻一刻と麗子の方へ!!
8本の脚をモゾモゾと不気味に蠢かせて歩く、その妖怪の名は【大蜘蛛】。だが、彼女は気が付いてない!!

キィィ――――――――――ィィン・・・キィィ―――――――――ィン・・・

遂に大蜘蛛は麗子の車へ移った。だが、契約者でも何でもない一般人である彼女は気が付いてない!!
大蜘蛛はボディーからフロントガラスへ移動し、不気味に唸りながら口から太い糸を吐き出した。
その糸はルームミラーから現実世界へ這い出して、麗子の首を目掛けてウネウネと伸びて行く!!

「・・・・・何これ!?」

ようやく気が付いた時、糸は既に首や腕へ幾重にも絡み付いていた!!懸命に解こうとしたけれども、絹のしなやかさと
鋼の強度を併せ持つ糸は、人間の力で解けるようなシロモノではない!!
そのままルームミラーへ引っ張り込まれそうになって、ようやく恐怖を感じて叫ぼうとする麗子!!
だが、糸が首に巻き付いてる所為で声が出ない!!
薄れゆく意識の中、彼方からバイクの排気音が接近するのが聴こえる・・・。
間一髪で間に合った真治は、スーパーカブを一直線にR360クーペの元へと走らせて飛び降り、
ドアを開けて麗子を拘束してる糸を懸命に引っ張った!!その背後で、スタンドもかけずに放り出されたスーパーカブが
ガシャンと派手な音を立てて引っくり返る!!

「麗子さんっ!!しっかりっ!!」
(・・・嘉戸・・・くん・・・・?)
「このっ!!離れろ畜生っ!!」
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

麗子は必死に糸を解こうとする後輩の姿を見て声を聴き・・・そのまま気を失った。
一方、少し離れた所に愛車を停めた粉木は、ジャケットの内ポケットからカードデッキを出してバックミラーへ向ける。
飛び出したベルトが、反転して粉木の腰に装着された!!そしてバックルにカードデッキを嵌めこむ。

「蓮・・・ゴホッ・・・勘平っ!!」
「させるかいっ!!変身っ!!」

バックミラーから飛び出したマスクとスーツが、粉木の身を包む!!コードネーム:騎士に変身完了!!
騎士の姿はミラーへ吸い込まれて消えた。そして“鏡の中”で待機してる特殊バイク【弾丸号】に飛び乗って走りだす。
何処からともなく闇蝙蝠が飛んで来て後に従う・・・・程なく“鏡の中の銀座”へ到着し、弾丸号から降りて大蜘蛛の元へ。
風の如く駆けながら腰に提げてる刀【暗黒剣】を引き抜き、大蜘蛛に駆け寄るなり現実世界へ向かって伸びてる糸を両断!!
同時に強烈な蹴りを叩き込んで吹っ飛ばした!!現実世界の糸が、根っこを失って消え去る。

「こら妖怪っ!!オノレの相手はワシやっ!!」
「ギギギッ!!ギィィ――――――ッ!!」

食事の邪魔をされた大蜘蛛は怒り狂い、代わりに騎士を食い殺そうと向かってきた!!
1つ1つが人間の身の丈ほどある8本脚が、ウネウネと不気味に蠢いて、前脚2本が矢継ぎ早に騎士を襲う!!
暗黒剣で凌いでるが、パワー不足は否めなくてジリジリ後退。それを現実世界から眺めて歯噛みする真治!!

「あ~クソっ!!押されてんじゃんよっ!!」

倒した運転席のシートに麗子を寝かせてドアを閉めた真治は、ボディーに映ってる光景を見て焦れた。
そして何の気なしにボディーへ手を突いたら・・・・全身がズブズブと、ボディーの中へ飲み込まれていく!!

「え!?わっ!?何だこりゃっ!?・・・・わああああああああ~~~~~っ!!??」

現実世界と鏡の世界を繋ぐ【ディメンションホール】をジタバタもがきながら飛ぶ真司の姿が、甲冑を思わせるマスクと
スーツとプロテクターで包まれる・・・まだ妖怪との契約が済んでないので、基本能力で劣る【不完全体】だけれども。
やがてディメンションホールを突き抜けて鏡の世界へ到着。まず地面に尻をぶつけて「いててて」と呟く。
次に周囲と眺めて、文字の類が現実世界と反転してるのに気が付いて「ええっ!?」と言って暫し呆然とした。
そして最後に、傍の車に映ってる我が身を見て「どわああああああ!?」と叫ぶ。

「これって、まさか・・・・・噂の“仮面ライダー”か!?」

その間にも戦ってた騎士は、暗黒剣では埒があかないと判断。飛び退いて距離を空け、同時にベルトのカードデッキから
槍らしき武器の絵が描かれたカードを抜き、それを暗黒剣の鍔を展開して現れたスロットに装填する。
≪ソードベント≫  無機質な機械音声と共に闇蝙蝠が飛来し、自身の尻尾を模した武器【闇翼槍】を渡した!!

「これで、どうやっ!!」
「ギイ――――――――――ィッ!?」

突進してくる大蜘蛛!!騎士は怯むどころか風の速さで立ち向かい、擦れ違いざまに闇翼槍を一閃!!
大蜘蛛の右前脚が飛んで「ギギギィィ―――――ッ!!」と絶叫が響く!!

「なるほど、ああやって武器を・・・よっしゃ、俺も!!」

真治変身体は、無地のカードデッキから刀が描かれたカードを出し、左手に装備された召喚機に装填する。
≪ソードベント≫  何の装飾も施されてない見るからにショボそうな剣が、空から落ちてきて地面に突き刺さった。
暫し眺めてから意を決して引き抜き、形も何もあったもんじゃない屁っ放り腰で、剣を振り回しながら大蜘蛛に突撃!!

「喰らえええええええええええええええっっ!!!!!!!」

ブンッ・・・・・ボキッ!! ヒュルヒュルヒュルヒュル・・・・サクッ

「・・・・・・って、折れたあああああああああああああ~~~~~~っ!?!?」
「何やっとんねんっ!?妖怪と契約してないのかいなっ!?」
「け、契約?????」

離れた所に立ってた騎士に怒鳴られて、何の事かと首を傾げる。その隙を大蜘蛛に突かれ、爪の一撃をモロに喰らった!!
真治に気を取られてた騎士と激突!!揃って吹っ飛ばされて、アスファルトを転がる!!

「ぐはああああああああっ!!!」
「アヘェ~~~~~~ッ!?」
「ギイ――――――――――ィッ!!」

纏めて食い殺そうと迫る大蜘蛛!!手負いにされて気が立っちゃってるんで、余計にタチが悪い!!
真治変身体は思いきり腰を打って「あいたあ~っ!!」と呻いてるが、戦い慣れしてる騎士は受け身でダメージを半減して
直ぐに立った。まだ引っくり返ってる真治変身体を「邪魔や!!」と蹴っ飛ばし、自分も横っ飛びして大蜘蛛の突進を回避。
止まって方向転換して、再び突っ込んで来る大蜘蛛!!騎士はタイミングを計ってジャンプ!!捻りを加えた空中回転で、
大蜘蛛の頭上を飛び越えつつ闇翼槍を一振り!!大きな斬り傷が、背中にザックリと刻み込まれた!!
騎士は着地するなり向きを変え、闇翼槍を振るってダッシュ!大蜘蛛の右側の脚を、残らず斬り飛ばす!!
ガックリ傾く巨体!!さすがに怯んで悶絶する大蜘蛛を睨みながら、必殺技のカードを装填!!

≪ファイナルベント≫
「喰らえっ!!」

青空へ吸い込まれるかのように高々とジャンプ!!その後を追いかけた闇蝙蝠が、騎士の身体を翼でスッポリ包み込む!!
そして変形して巨大なドリルのような形状になり、高速回転しながら大蜘蛛に垂直降下!!
必殺技の【飛翔斬】が大蜘蛛の身体を貫き、爆発四散させた!!大蜘蛛騒動、これにて一件落着。

「帰るで」
「ん・・・・・ああ・・・」
「グギャ――――――――――――――――――――オッ!!!!」
「げっ!?」
「クソッ!・・・嫌なタイミングで出てきおるのっ!!」

大蜘蛛を退治して安心&疲れてた2人の隙を突いたかのように、最悪なタイミングで赤竜が襲来!!
とりあえず、一緒に走って逃げる!!騎士は「事のついでに、奴も」と思い、走りながらカードを抜いて装填した。
≪ナスティーベント≫ 機械音声と共に闇蝙蝠が飛来。赤竜の行く手を塞ぐようにヒラヒラと舞う!!

「耳、塞いどけっ!!」
「え、何だって!?」

ピキィィィ――――ィィィィィン!!!!  闇蝙蝠が、強烈な超音波を発して赤竜を牽制!!
忠告を聞き損なってた真治変身体も、まともに喰らって悶絶!!不快な音と頭痛がダブルで襲ってくる!!

「ぎぃぇぇぇ~~~~~~~~~~っ!!!!」
「だから言うたやろがっ!!」

そして赤竜はと言うと、少しだけ怯んだけれども直ぐに体勢を立て直して襲ってきた!!
しかも中途半端な攻撃を喰らった所為で、逆に闘争本能に火が付いてしまった!!
怒りの咆哮を上げながら上空を旋回し、急降下しながら口から高熱火炎の弾を何発も発射!!
ドカーンッ!! ドカーンッ!! ドカーンッ!! ドカーンッ!! ドカーンッ!!
ビル、アスファルト、車、標識・・・・触れたモノ全てが、焼き尽くされて爆発!!
2人は爆風に煽られて転げそうになりつつ逃げ回るしか術が無い!!

「こりゃ、あかんわっ!!使えるカードも少ないし・・・どないしよ?」
「ど、どうすんだよぉ~っ!?」
「気ぃ散るわっ!!黙っとれっ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

思わず怒鳴り返したけど、正直な話すると騎士も成す術なし。残ってるカードは分身と盾くらいなのだ。
凄い奇跡でも起こらない限り赤竜を倒すのは無理である。そして更に。
シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・ 2人の身体の表面が、粒子のようになって蒸発。
鏡の中に留まっていられる制限時間が訪れてしまったのである。
「一旦退却や!」と判断した騎士は、咄嗟に最寄りのビルのショウウインドウへ飛び込んだ。
後に続いて、真治変身体も飛び込もうとしたが・・・ ガァ~~~~~ンッ!!! 弾き返された!!

「ちょ・・・どうなってんだよっ!?」
≪おまえは、まだダメや!!来た場所へ飛び込めっ!!≫
「き、来た場所・・・・・・令子さんの車!!」


―銀座の裏通り―

「・・・・う~ん・・・・・・?」

麗子が気絶から醒めたら、愛車の運転席に座ってた。気絶前の記憶が徐々に戻る。余りに突飛な出来事なんで
「さっきの事は夢?」と思ったが、ルームミラーで確認したら、頸に紐で絞められたような痕がクッキリ残ってた。
鏡の中から襲ってくる妖怪・・・引き摺りこまれ、おそらく喰われる・・・。
都市伝説程度に思ってた話が、事実だった上に自分が遭遇したワケなのだが、荒唐無稽すぎて信じきれない。

「・・・・・嘉戸くん!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ふと横を向いたら、嘉戸真治がビルの壁にもたれて失神してるではないか。慌てて飛び出して抱きかかえて、
名前を呼びながら揺さぶってみたけど、暫くは醒める気配が無い。
どうしようかと困ってたところへ、偶然に通りかかった通行人を装った粉木と由依が声をかけて来た。

「ん~・・・・どうしたんや?」
「大丈夫ですかぁ?」
「ありがとう・・・後輩が気を失ってるのよ。頭でも打ったかしら?」
「出血はしてへんなぁ・・・救急車、呼ぶか?」
「う~ん・・・とりあえず、私の車で会社に連れて帰って様子を見るわ」
「さよか・・・退いてみぃ。ワシが運んだる」
「ありがとう」
「姉さんの車って、コレか?」
「はい」

粉木は真治を抱き起こして肩に背負い、R360クーペの助手席まで運んで乗せてやった。

「御世話様でした」
「ええねん・・・ほな、さいなら」

手助けするだけしてから素っ気なく去って行くカップルを暫し見送ってから、麗子は愛車に飛び乗って
エンジン始動。取材は終わったし、真治を介抱しなきゃならぬので、御礼新聞オフィスへの帰路を行く。
粉木と由依は角を曲がったところで身を潜め、麗子が去ったのを確かめてから戻って来た。

「嘉戸真治くんか・・・カードデッキ持ったまんまだね」
「そやなぁ・・・」
「どうするの?」
「とりあえず、今は持たせとこか・・・
 気ぃ進まんけど、赤竜を誘き寄せる囮になってもらわな。まだ死なれちゃ困るわ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「妖怪は、狙った相手を執拗に追う。奴を見張ってれば、赤竜は、きっと来る。
 御礼新聞て言うてたな。追いかけて、張り込みや」
「・・・・そうだね」

2人はドリームCB72に戻って跨り、銀座の大通りへ飛び出して麗子の車を追った。
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
鏡の中の銀座通りで、散らばって漂ってた金色の粒子が徐々に集まって形を作る。
あっという間に元の大蜘蛛に戻り、更にその背中から、人の上半身のような姿の異形が現れた。
完全体となった大蜘蛛は、復活に要したエネルギーを補給するべく暗躍を開始する!!

・・・繰り返すが、この話は『仮面ライダーザムシード外伝・粉木STORY激闘編』と言う
100%オリジナルの話だ。何処かで見たような話だなどと言う、ワケの解らない言いがかりは聞く耳持たん。
 

仮面ライダーザムシード外伝・粉木STORY激闘編2

 投稿者:ゾルダⅢ世  投稿日:2015年 3月26日(木)18時22分28秒
返信・引用
  ―1961年:花鳥―

『何を犠牲にしても叶えたい、たった1つの願い』について想いに耽る蓮・・・ゴホッ・・・
粉木勘平の意識は、何時しか過去へと飛んでいた・・・。

大阪で生まれ育った粉木が東京へ来たのは、かれこれ2年前だったか・・・。
生まれ育った街に、それなり愛着はあった。だが何となく「オラ東京さ行くだ」って気分になった。
天涯孤独の気楽な身なのも手伝い、アパートを引き払って最低限の荷物だけ持って、夜行列車でフラリと上京した。
そして住み込みで働ける仕事を転々としたり、適当な仕事しながら安アパートで暮らしたり。
友達を作るのが苦手で、趣味はバイクと映画鑑賞くらい。だいたい上京したとて、特に夢や目的があるワケでも無い。
そんな気楽なヤモメ暮らしを始めてから約1年。緒川絵梨との出会いは、ある日唐突に訪れた。

キッカケはドラマみたいにベタだった。思わず安田大サーカスが登場して例のネタをするくらいベタだった。
休日に公園をブラブラしてたら、愚連隊(今で言うDQN)が絵梨に絡んでるのに遭遇したのである。
粉木は幼い時から腕っぷしが強くて喧嘩っぱやく、素っ気ない割には変なとこで親切と言うヤヤコシイ性格。
ついでだが、映画館で赤木圭一郎の『拳銃無頼帖 抜き射ちの竜』を観た直後でテンションが上がってた。

「止めたれや、お嬢が困っとるやないけ」
「何だと、てめぇ!」
「痛い目に遭いたくなきゃ、引っ込んでいやがれ!」
「いい歳こいた兄ちゃんが、揃って格好悪いでぇ。
 ほれ、周りを見て見ぃや・・・・皆オマン等の事“ババを見る目”で眺めとるやないけ。
 『バカ』やのぅて『ババ』や。ジャイアント馬場とちゃうで~。大阪ではな、ウンコの事ババ言うねん」
「くっそ~、こん畜生!」
「やっちまえ~っ!」

てな流れで、一戦おっぱじまった・・・実に一方的だった。
愚連隊はタンコブだらけにされて泣いたり、吹っ飛ばされて電線に触れて骨格が透けたりと散々な目に遭い、
口々に「くそ~、覚えてろ~!」「おまえの母ちゃんデ~ベソ~っ!」と、捨て台詞を残して逃げてった。

「口先だけやのぅ、ラジオ体操にもならへんわ・・・大丈夫か?」
「はい・・・ありがとうございました」
「この辺あ~ゆ~アホ多いさかい、気ぃつけや・・・ほな、さいなら」
「あ、ちょっと!」
「何や?」
「お礼に、お茶くらい御馳走させて下さい」
「んな余計な気遣い、いらんわい」

遠慮したけれども、絵梨が引かない。結局は押し切られて、最寄りの喫茶店でコーヒーをゴチになった。
さて・・・店へ入ったは良いが、話が続かない。スピーカーから流れるザ・ピーナッツの曲を聴きながら、
向かい合った2人は無言で俯いて、モジモジしながらコーヒーを啜るばかりだった。やがて。

「私、緒川絵梨です」
「・・・粉木勘平や」
「大阪から来られたの?」
「そや」

って会話をキッカケに会話が弾みだした・・・聞けば絵梨は、粉木と同じく天涯孤独な身の上だった。
成績優秀だったので、奨学金で星命院大学へ通っているそうだ。粉木には何が何だかサッパリだったが、
柄島研究室なるグループに所属していて、門崎史郎と言う大学院生を中心に小難しい研究をしてるらしい。
他にも色々と話が弾んだが、絵梨がバイトに行く時間になってしまった。彼女は別れ際に頬を赤らめながら
「また会ってもらえますか?・・・ここに電話ください」と、破いたメモ帳に寮の電話番号を書いてよこした。

「絵梨ちゃん・・・・か。ええ娘やなぁ」

粉木はボ~ッと呆けた表情で、雑踏の中を足早に去って行く後ろ姿を何時までも見送った。
店を出た後も、絵梨の事が頭から離れない。ボ~ッとしすぎて電柱にぶつかったり犬の糞を踏んだりした。
ボロアパートに戻ってラジオつけたら夢路いとし・喜美こいしの漫才が流れたけれども、サッパリ耳に入らない。
挙句の果てには、銭湯でのぼせた・・・そして帰る途中、意を決してタバコ屋の赤電話をダイヤルした。
次の日から、粉木は人が変わったように真面目に働くようになった。
同僚から「核戦争の前触れか?」とからかわれた。実際『U-2撃墜事件』が発生して、米ソが一触即発となった。
だが粉木は、そんな雑音は一切無視した・・・夢も目的も無く過ごしてた東京暮らしに、一筋の光明が射したからだ。
2人の中は急速に進展していった。互いに忙しかったが、夜は必ず電話をした。
少しでも会える日は、嵐が吹き荒れようと会いに行った。数ヶ月も経ったら、絵梨が週末に泊りに来るようになった。
デートはもっぱら、当時の愛車だったホンダのベンリィCB92と言う125ccでのツーリングだった。
2人とも海が好きだったんで、休日は早起きして弁当を作って、お気に入りの海岸へと出かけた。
道路事情が酷かったり、元から中古のボロだったりした所為で、良く故障したりパンクしたりして押して帰った。

「・・・・すまんの・・・」
「気にしないで、私なら大丈夫だよ」
「もうちょっと待っとれや・・・来年ホンダから、250ccのカッコいい奴が出るねん。
 それ絶対に貯金で買うたる!そしたら、もっと快適やし、うんと遠くまで行けるでっ!!」
「うんっ!待ってる!」

そしてあの日も、何時もの海へと出かけた・・・・・
裸足になって波打ち際まで行ったり、呼ばれて振り返ったら水をかけられて「こいつぅ~!」と言いながら追いかけたり、
その時代の恋人っぽい事を一通りしてから、砂浜に並んで座って波を見つめた。暫く黙ってた粉木が、不意に絵梨に膝枕する。

「勘平・・・いきなり、どうしたの?」
「・・・いくつになっても甘えん坊~・・・」
「・・・・・・プッ・・・・・アハハハハハハハハハッ!!」
「・・あへぇ~っ」
「その口癖、何なのぉ~?」

何で急にそんな事をしたのか、今になっても解らない。その後「ぼちぼち帰るか」となり、珍しく故障もせず帰路をトコトコ走り、
通りすがりの中華料理屋でラーメン食ってから寮まで送って別れた・・・それが最後のデートだった。
2日後。早く仕事が上がったんで、一緒に晩飯でも食いに行こうかと星命院大学へ迎えに行った。
そして正門を通って駐輪場にベンリィを停めた時・・・ドオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!
爆音が響き渡って、空気がビリビリ震える!!しかも、何度か行った柄島研究室の方角から!!

「絵梨~~~~~~っ!!!!!!!!」

一目散に避難する学生達の河を逆流し、校舎へ飛び込んで階段を駆け上がり、柄島研究室へと走った!!
そしてドアを蹴り開けたら・・・・・・・想像もしたくない最悪な光景が展開されていた。
メチャメチャに壊れて転がる机や椅子。倒れた棚。飛び散る資料に薬品・・・そして、床に倒れてる絵梨。
慌てて駆け寄って抱き起したが、どうにも手の施しようが無い。「ケガ人や!!救急車を呼んでくれ~っ!!」と、
廊下に向かって叫ぶのが精いっぱいだった。懸命に呼びかけたり頬を擦ったりしたが、瞳の光が段々と弱々しくなっていく。

「絵梨っ!?死んだらあかんっ!!絵梨っ!!」
「か・・・ん・・・ぺい・・・・わ、た・・・し・・・」

何か言いかけた唇が閉じられ、瞼も閉じられ、そして2度と開く事は無かった。ただ呆然とする粉木。
その真後ろに、何時の間にやらトレンチコートを着た不気味な男が突っ立っていた。
何度か話は聞いてた、門崎史郎だと直感した。そして・・・・

「キキ―――――――ィィィィィ!!!!」
「!?・・・・何やっ!?」

黒い巨大な蝙蝠・・・妖怪・闇蝙蝠が、門崎史郎に付き従うかのように飛び回っている。

「・・・・実験は失敗か・・・・」
「何やとっ!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・願いを叶えたくはないか?」
「・・・・・・・・・・・・・・?」
「俺の話に乗るなら、どんな願いも1つだけ叶えてやる」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ムカつく男である。何の実験か知らぬが、大事な絵梨を死なせてしまったのだ。
咽び泣きながら土下座して「申し訳ありませんでしたぁ~!!」と謝罪するのが普通の神経ではないか?
それが何で、上から目線で「条件を聞き入れたら願いを叶えてやる」などと抜かしやがりくさるのか?
憤怒の形相で立ち上がった粉木は、振り向きざまに鉄拳を振るった・・・・が、拳は宙を切った。
門崎は瞬き1つするかしないかの間に数mほど移動してる。今度は足元に落ちてた小瓶を拾って投げつけた。
だが結果は同じだった。次の瞬間には部屋の反対側の壁際まで移動していて、瓶は掠りもせず砕け散った。
門崎は、プラスチックのケースみたいな平たい黒いモノを粉木に投げる。反射的に受け止めて“ケース”眺める。

「闇蝙蝠と契約しろ」
「契約?」
「そして戦え・・・・・・最後の1人になった時、どんな望みも1つだけ叶えてやる」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」

つくづくムカつく男だが、絵梨を元通りにするには奴の話に乗るより他に無さそうだ。
粉木はケース・・・・カードデッキから【CONTRACT】と書かれたカードを抜いて、闇蝙蝠に向けた。
異次元空間に吸い込まれた粉木の周囲を闇蝙蝠が飛び回り、マスクとスーツで全身を覆われる。
無地だったカードデッキに闇蝙蝠のマークが浮かぶ・・・・・・・【コードネーム:騎士】が誕生した。
ちなみに絵梨は、搬送先の病院で呆気なく死んでしまった。これが例えば西暦2002年くらいだったならば、
進んだ医療で植物状態ながらも生きながらえて、夜な夜な病室を訪れて「・・絵梨」と呟くくらいは出来たろう。
だが如何せん、当時の医療技術では手の施しようが無かったのである。


―何処かの街角―

粉木は、ひたすら妖怪退治に精を出す日々が続いてた。まだ他の【契約者】とは遭遇していない。
どんな奴と出会う事になるやら?想像もつかない。そいつが問答無用で襲って来た時は、願いの為に戦わねばならん。
【契約妖怪】は、他の妖怪を倒して命を喰らう事で強化される。強い妖怪を倒すほど、自分も契約妖怪も強くなる。
その反面、契約妖怪を飢えさせると自分が喰われてしまう・・・・。
粉木は念願のドリームCB72を購入した。だが、タンデムシートに跨ってるのは別の女性である。
成り行きで門崎史郎の妹である由依と知り合い、共に行動するようになったのだ。
粉木と由依は今、闇蝙蝠を強化するべく【妖怪・赤竜】を追跡している最中だった。
最強クラスと言っても過言ではない赤竜を喰わせれば、闇蝙蝠は格段に強くなる。そして契約者とのバトルが有利になる。
都電が真ん中を占領して、オート三輪や軽自動車が行き交う幹線道路を走る、粉木のドリームCB72。
その前方を、50ccのスーパーカブが走っている。前輪のカバーに【御礼新聞】と書かれた旗をバタバタさせていて、
見るからに人の良さそうな若い男が運転してた・・・赤竜は、その若い男を獲物として付け狙っていた。


―首都高をツーリング中のバカ共―

「やっぱり粉木じいさんが蓮ポジションじゃんっ!!!最初の方で『蓮・・・ゴホッ・・・』て言ってるじゃんっ!!!
 いくら『当時の風景・風俗を描写したり、要所でカンペーさんの持ちネタ入れてそれっぽく表現しましたよ』みたいに書いてもダメッ!!!
 てゆ~か、どう見ても俺モチーフの奴が出てきたっ!!!」
「鳩ポッポ・・・・さっきから、どうしたの?熱でもぁるの?」

堪りかねて明後日の方向にツッコミを入れる真司。何故に、そんなに怒ってる?気でも狂ったか?
粉木が蓮のポジション?真司がモチーフのキャラ?・・・何の事だ!?毎回毎回しつこいぞっ!!
これは『仮面ライダーザムシード外伝・粉木STORY激闘編』と言う、100%オリジナルの話だ!!
 

仮面ライダーザムシード外伝・粉木STORY激闘編1

 投稿者:ゾルダⅢ世  投稿日:2015年 3月24日(火)14時49分33秒
返信・引用
  ―プロローグ―

色々と大失敗をやらかした燕真と紅葉は、ちょっと気まずそうにYOUKAIミュージアムへ戻って来た。
「じいさん、怒ってるかな?多少の説教は覚悟しなきゃ」と思って扉を開けようとしたら、施錠されてて開かない。
ひょっとして、自宅に居るんだろうか?燕真と紅葉は、ミュージアムの隣にある粉木宅へ向かう・・・・・。
ほら、やっぱりだ!玄関ドアを開けたら、明らかに怒った顔で腕組みした粉木が立っていた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・た、ただぃま・・・」

粉木はスゥ~っと大きく息を吸い込んで一拍置いてから・・・

「バッカモォォォォ~~~~~~~~~~~~ンンンッッッ!!!」
「・・・・ぐっ!」
「・・・ひゃぁぁぁぁ~~~~~っ・・・・」

同時にカメラが粉木宅の外になり、建物が“サザエさんのエンディングで磯野一家が飛び込む小さな家”みたいに
ボヨヨヨ~ンと揺れた!!これは、かなり拙い!!想定してたよりも、遥かに怒ってるじゃん!!
粉木の気迫に押された2人は、思わず気をつけしてギュッと目を閉じる。

「とりあえず、上がれっ!!」
「・・・・・・・・・・・はい」×2

言われるまま、見えない手錠で繋がれたかの如く居間へと連行されて、並んで床に正座。
絨毯ひいてあるから良いが、床に直だったら地獄である。粉木はキッチンで自分の分だけ茶を淹れて戻り、
ソファーに腰かけて茶を啜りつつ2人を睨む・・・迫力に圧倒された2人は、借りてきた猫みたいに大人しい。

「燕真っ!!」
「・・・・・はい・・・」
「仮面ライダーの変身者って自覚が無いんかいな!?今回の失敗は、オマエの責任やっ!!」
「・・・・・・・・」
「どうすんねん!?彼岸カバー割りよるし、カマイタチ逃がしよるし、彼岸カバー壊しよるし!!」
「・・・ごめんなさい」
「【閻魔GEAR】ちゃんと管理してへんから、こないな事になるねん!彼岸カバーどうすんねん!?」
「・・・・・・・・・・・・」
「お嬢が持ち出してたのが、不幸中の幸いやっ!!
 そこらの子供が持って行きよったら、もっとエライ事になっとったでっ!!
 まだまだヒヨッコとは言え、仮面ライダーやろっ!!閻魔GEARは、命の次くらいに大事にせいっ!!」

全くの正論でグゥの音も出ないんで、燕真はひたすら「はい」「ごめんなさい」と言うしか無かった。
ちなみに【閻魔GEAR】とは、YOUKAIウォッチや和船ベルトの総称である。
傍で聴いてた紅葉は「どうゃら、怒ってる1番の理由ゎ九谷焼のカバーを割った事らしい」と判断し、
「それだったら悪いのゎ燕真で、私ゎ関係なぃ」と思った。怒声が途切れて茶を啜る音がしたのを幸い、
そっと立ち上がって、ペコリと頭を下げて帰ろうとした。

「ぉ騒がせしましたぁ・・・・さょぅなら・・・」
「何処へ行くねん、お嬢?誰が帰って良い言うた?座れっ!」
「・・・・ぅ・・・・」

逃がしてくれる気は無いらしい。迫力に圧倒された紅葉は、向き直って正座した。

「燕真が管理責任に欠けとったのは確かやけど、お嬢が勝手に持ち出したのも悪いでっ!!」
「は・・・はぃ・・・」
「閻魔GEAR舐めたらあかんっ!!誰にもホイホイ使えるもん、ちゃうねんでっ!!」
「・・・・・・・・・・」
「アレは玩具やないねんっ!!ワシも所詮は中間管理職やから、詳しくは知らんけどな。
 上のもんが燕真を適合者に選んだんは、それなりの理由あるねん!!2度と、手ぇ出すなっ!!」
「・・・・・はぃ・・・」
「お嬢が無茶しよったさかい、カマイタチ逃がしよるし、彼岸カバー割れてもうたがなっ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「またやりよったら、お嬢だろうとパチキやでっ!!彼岸カバー割れてもうたがなっ!!」
「・・・・もぅ絶対に、ゃりません・・・・」
「約束やぞっ!!また無茶やらかしよったら、出入り禁止やぞっ!!」
「・・・・はぃ、約束します・・・・」

その後も、粉木の説教は延々と続いた・・・内容を内訳すると、彼岸カバーを壊した事に対して6割。
仮面ライダーを名乗って戦う事の重さについて2割。カマイタチの封印失敗に対して2割ってとこだったろうか。
彼岸カバーどんだけ大事なんだろう?カマイタチを封印しそこなった事よりも、そっちに怒ってる。
粉木のマシンガントークは小1時間ばかり続き、2人はグッタリしつつ「はい」「はい」と返事しながら聞いていた。

「あ~・・・・あかん、あかん。何時の間にやら、彼岸カバーの話ばっかりしとったがな・・・
 わしが怒ってるのにはな、まだ理由があるねん」
「・・・・どんな?」
「あのな燕真・・・・オマエは、ワシの大事な仲間やねん」
「・・・・・仲間・・・」
「そや、仲間や・・・そんでワシはな、仲間が死ぬのだけは我慢できへんねん」
「粉木ぉじいちゃん・・・ひょっとして・・・・仲間が死んじゃった事ぁるの?」
「ああ。もう、だいぶ昔の話やけどな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「これだけは、キチーっと言うとく。耳の穴かっぽじって聞け」
「・・・ああ」
「なぁに?」
「2人とも、絶対にワシより先には死なんて約束せい」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「何で黙るんやっ!?何で直ぐに、一言『はい』って返事せんっ!?」
「わ、解ったよ。約束する!!」
「ゎたしもっ!!」
「絶対やでっ!!破りよったら承知せんぞっ!!」
「破らねぇよ・・・俺だって、まだ死にたかないもんな」
「ゃりたい事、ぃっぱいぁるもんっ!!」
「・・・・・・・・・・・・」

ここで説教が一段落。粉木は冷めた茶を啜り、海苔巻あられを口に放り込んでコリコリと食ってから、
ふと明後日の方に視線を移した。視線の先は、引き戸を隔てて粉木の寝室・・・
その奥にある、小さな仏壇を供えてる方を向いている。朝飯を貰いに来ると、必ず仄かに線香の香りが漂っている。
燕真は拝んだことが無いけれども、誰を祀ってるんだろう?確か前に、天涯孤独の身だと聞いたけど。

「じいさん・・・」
「何や?」
「あの仏壇・・・・ひょっとして、さっき話した“死んだ仲間”を?」
「そうや」
「・・・・・・・・・・・・」
「丁度ええ機会や・・・・ワシの昔話、聞くか?」
「・・・・ああ」
「聞きたい!」

これから“仮面ライダー”として戦い抜く為に、どうしても聞いておかねばならぬ。そんな気がした。
紅葉にしても、ここまで首を突っ込んじゃってるし、何より好奇心が大きかった。
粉木は何時になく真剣な表情で自分を見上げてる2人を眺めて軽く微笑み、キッチンへ行って茶を注ぎ足して
戻ってから、ポツリポツリと語りだした。

今、若き日の粉木勘平の話が明かされる時が来た・・・・・・
最初は粉木の一人語り風でチャチャっと済ませようと思ってたんだけども、色々と盛り込んだら長くなったんで、
普通に物語風の文体で書く事にする。少しばかり長いが、暫く御付き合い願いたい。
それから、たまに入る雑音(真司のツッコミ)は、適当に聞き流して下さいませ。


―本編開始―

夜の幹線道をバイクが疾走してる。乗ってるのは、言うまでも無く若き日の粉木勘平だ。
ノーヘルOKな時代なんで、少し長めの髪をピンピンと突っ立てた頭に、直でゴーグルだけ付けている。
防寒で米軍払い下げのMA1を着てマフラーをきつく巻き、下はジーンズに革ブーツ。
一説によると、この頃は「髪が耳にかかってたら不良」「ジーンズ履いてたら不良」だったらしい。
つまり“ド不良丸出し”って格好である。ちなみに愛車は、大人の事情によりホンダ製だ。
ドリームCB72と言う、当時の若い奴等の間で人気だった250ccのスポーツモデルである。
http://pds.exblog.jp/pds/1/200705/11/32/b0076232_8185645.jpg
シフトダウンして左折。OHC2気筒エンジンの小気味よい排気音を響かせながら、終電が過ぎた駅前商店街に入った。
コンビニなどと言う便利な店が普及するのは遥か先の話なんで、こんな時間に開いてる店は居酒屋くらい。
軒先に赤提灯を提げた店から嬌声が漏れる他に、人通りは皆無と言っても良い。
脇目も振らず商店街を抜けて住宅街へ入り、粉木は愛車を道端に停めて、鋭い視線を前方に向けた。
20mばかり先を、勤め帰りらしい女性が1人で歩いてる。バイクの音を聞きつけた女性は、警戒するような表情で振り返った。
だが粉木がエンジンを止めてライトを消したんで、また前を向いて家路を急ぐ。ヒールの音がコツコツと響く。

キィィィ――――――――――――ン・・・・・ィィィ―――――――ン

普通の人間には聴こえない“妖怪接近音”が、粉木の耳にはしっかりと聴こえていた。女性を狙ってジリジリと接近してる。
粉木はキッと険しい表情になり、革パンツの尻ポケットに手を突っ込みながら呟いた。

「・・・・2度も3度も、させるかいな」

その数秒後、住宅街の通りがフラッシュを何十個も同時に焚いたような閃光に照らされて、直ぐに元の暗がりに戻った。
粉木は何処へ消えたのか?彼の愛車が薄暗い街路灯に照らされてポツンと停まってるばかり。
女性は何も知らず、鼻歌を唄いながら自宅へと歩いている。その直ぐ傍ら・・・・
普通の人間には見る事の出来ない異空間で、異形の戦士とモンスターとの死闘が繰り広げられていた。


☆アバンタイトル終了してオープニング☆

朝焼けに包まれて 走りだした 行くべき道を
情熱のベクトルが ボクの胸を 貫いてゆく

どんな危険に 傷つく事があっても

夢よ踊れ この地球(ほし)の下で
憎しみを映し出す 鏡なんて壊すほど

夢に向かえ まだ不器用でも
生きている激しさを 身体中で確かめたい

【仮面ライダーザムシード外伝・粉木STORY激闘編】←タイトルロゴ

☆オープニングが終わってCM(カラー放送は始まってるが、まだ大半が白黒映像)☆


1961年(昭和36年)の話である・・・・・
まだ貧しい時代だった。ろくに区画整理もされてない街に、現在の感覚では掘立小屋に等しい粗末な家がビッシリと並んでる。
ちょっと裏通りへ入れば、都心でも未舗装路が珍しくなかった。東京でさえ、場所によっては畑が広がって馬や牛が引く荷車が見られた。
つぎはぎだらけの粗末な服を着て、慢性的なタンパク質不足が原因で青白い鼻水を垂らした子供達。
庶民の月給は、4万円前後だったろうか?『車とクーラーとカラーテレビの3点を所有するのがステイタス』とされたが、無理な話である。
頑張っても軽自動車が買えればマシな方。前年に国産初のカラーテレビが発売されたが、庶民には夢のまた夢な値段だった。

でもまぁ、貧しいけれど活気に溢れた時代でもあった。

『一生懸命に働いてりゃ、そのうち暮らしが良くなる』と希望を持てたし、実際に少しずつだが所得は上がっていた。
世界に目を向ければ、4月にソ連の宇宙船ボストーク1号が、ガガーリン飛行士を乗せて世界初の有人宇宙飛行に成功した。
娯楽の王様は、映画とスポーツ観戦だったと思う・・・
力道山の空手チョップが悪役外人レスラーを打ちのめす姿に熱狂する人々。
石原裕次郎が演じる、挫折した若者の青春を描いたドラマ。
吉永小百合&浜田光夫コンビの純愛物に、植木等の喜劇・・・銀幕のスター達が、庶民に夢を提供する。
坂本九の名曲『上を向いて歩こう』が『SUKIYAKI』と言うタイトルで、アメリカのビルボード誌で1位を獲得する快挙を成し遂げた。
東海道新幹線と東名高速道路の2大事業を筆頭に、交通機関や道路のインフラが、急ピッチで進んでいた。
近代的なデザインのホテル等も次々と建てられる・・・3年後の東京オリンピック開催に向けて、国民が一丸となっていた。

だがこの年、行方不明者数が無視できないレベルになっていた。全く無かったと言う事は無いが、尋常でない人間が忽然と消えていた。
自ら失踪する理由が全く不明な人達が、何の前触れもなく行方をくらましてしまう。しかも、常識では考えられない消え方をしていた。
・・・幼子を待たせてデパートの試着室へ入った女性が、それきり出てこなかった・・・
・・・走行中の路面電車から、運転手と乗客が全て消えた・・・
警察では失踪事件として片づけられたが、それらは全て、異次元から訪れた【妖怪】の仕業だった。
都市伝説的に妖怪の噂が広がって、人々は本能的に「只事じゃない」と恐怖したが、だからと言って成す術も無い。
妖怪が持つ人智を超えた力の前に、人間は余りにも無力だった。

だが、救世主は存在した。

危機一髪で助けられた人達が語る“異形の妖怪ハンター達”の話が、じわじわと広がって行った。
「黒くて空を飛んでた」「緑色で、気障な口調だった」「紫色で狂暴だった」「胸回りの寸法が残念な女性だった」
どうやら“救世主”は複数存在するらしい。色々な目撃証言が錯綜して、彼等の正体はサッパリ不明だった。
たった2つ、共通点があった・・・・西洋の甲冑を思わせるマスクとスーツで素顔を隠し、未来的な高性能バイクに乗っている。
この特徴が元で、何時しか人々は異形の妖怪ハンター達をこう呼んだ・・・【仮面ライダー】

「仮面ライダーか・・・・ワシは【コードネーム:騎士】やから、仮面ライダー騎士か・・・
 ・・・語呂が悪いのぅ・・・そや!騎士を英語にして、仮面ライダーナイト・・・うん、悪うないな」
「どうしたの勘平?」
「何でもあらへん、独り言や」

ここは住宅街の中にある、小さな喫茶店『花鳥』の店内。成り行きで知り合った門崎由依と言う少女の叔母がオーナーだ。
掘立小屋みたいな粗末な家が大半だった当時にしては、かなり洒落た部類な造りの建物である。

♪I walk along the city streets you used to walk along with me♪
♪And every step I take reminds me of just how we used to be♪
♪Well, how can I forget you, girl?♪

エルビス・プレスリーのレコードが静かに流れる店内には、粉木と由依の2人だけ。今は休業中なのだ。
カウンター席に座った粉木は、由依が淹れてくれた紅茶を啜りながら、世間で噂の“仮面ライダー”に想いを巡らせていた。
何を隠そう、粉木は“仮面ライダー”の1人なのである。
尤も本人達は、自らを【契約者】と呼称し、互いの事はコードネームで呼んでいた。
契約者・・・
狙った妖怪を従わせ、その能力を引き出す事が出来る力を秘めた不思議なカードで、異形の戦士への変身能力を得た者の事である。
粉木は【騎士】のコードネームで呼ばれる契約者だった。契約した妖怪は【闇蝙蝠】と言う。
槍を主な武器としてるが、闇蝙蝠の能力を使った分身術や超音波攻撃を駆使したトリッキーな戦法を得意としている。
ちなみに契約者達は、自分達を正義の味方とは認識していなかった。皆それぞれ、どうしても叶えたい望みを持っている。
今の時点で何人の契約者が存在するのかは不明なのだが、彼等は“最後の1人に生き残って、願いを叶える為”に戦っている。
妖怪退治をしているのは、あくまでも自分の契約妖怪にエサを与える為。それが結果的に人助けになってるだけの話だ。

(絵梨・・・・・絶対に生き返らせて、幸せにしたる!)


―首都高をツーリング中のバカ共―

「コラコラコラコラァァ~~~~~~~ッッッッッッッ!!!!!!!!!!!
 色々な意味で、ダメだぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッッッッ!!!!!!」
「ゎっ!?ビックリしたぁ~・・・・ぃきなりどぅしたの鳩ポッポ?」
「何で、1号ライダー登場の10年前に、仮面ライダーが世間で認知されてんだよっ!?
 しかも、俺等の話と設定を丸パクリじゃねえかっ!!
 『当時の風景・風俗を描写して、それっぽく表現しましたよ』みたいに書いてもダメッ!!!
 てゆ~か、俺を殺すなぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~っっ!!!!
 この流れじゃ、どう考えても“粉木さんの死んだ親友”って、俺じゃんっ!!!!」
「・・・変なのぉ」

堪りかねて明後日の方向にツッコミを入れる真司。何故に、そんなに怒ってる?気でも狂ったか?
龍騎の設定を丸パクリ?真司が死ぬ?・・・何の事だ!?言いがかりは、止めたまえ失礼なっ!!
これは『仮面ライダーザムシード外伝・粉木STORY激闘編』と言う、100%オリジナルの話だ!!
 

アナザーファクト完全版3

 投稿者:ゾルダⅢ世  投稿日:2009年 6月29日(月)15時47分54秒
返信・引用
  【最後の男・3】

遥が居なくなってから、3LDKのマンションは荒れ放題になっていた。
床には埃の層が薄らと積もり、やり場のない怒りをぶつけられた壁は穴だらけ。台所にはゴミ袋の山。
中身はコンビニ弁当の残骸やファーストフードの空き袋ばっかりだ。立派な冷蔵庫の中は、酒とコーラと
氷しか入ってない・・・・そんな部屋に篭り、昼間から酒を飲んでいた。
大ジョッキにマイヤーズ・ラムのコーラ割りを作っては胃に流し込み、最後は必ず飲み過ぎて吐く。
酔い潰れて眠り、悪夢を見て飛び起き、また酒を飲む。夜中にコッソリ外出し、買った物を貪り食う。
そんな状態が10日ほど続いてた。外に出るのが嫌だった・・・世間を震撼させた大事件の犠牲者の夫、
しかも直に生まれてくるはずだった命まで奪われた可哀そうな人と言う事で、マスコミが連日のように
押し掛けては、マイクを突きつけて質問攻めにする。せめて静かに遥を送りたくてヒッソリと葬儀を行っ
たが、何処で嗅ぎつけたのか葬儀場にまでマスコミが押しかけ、生中継を見た野次馬が集まった。
悲劇の直後に遥を抱き寄せる後姿が写真週刊誌に載った。ニュースにも映った為に、街を行けば通行人
からジロジロ眺められる・・・伊達の神経は二重三重に傷つき、ズタズタに引き裂かれていた。
「・・・・・・・・」
何の気なしにテレビをつけたらニュースをやっていて、見た覚えがある屋敷の玄関前が多数のマスコミで
ごった返していた。地元の繁華街を牛耳ってる広域指定暴力団の組長・龍山の屋敷だった。
龍山が、両脇を刑事に掴まれてパトカーに乗る姿が映ってる。刑事達に罵声が浴びせられる。
「撮ってんじゃねえ、この野郎っ!!」
「見世物じゃねぇっ!!失せろコラァっ!!」
如何にもと言った風貌の男達がカメラに向かって凄んでいる。先日の『覚醒剤中毒者暴走殺人事件』の犯人
にヘロインを売った容疑で、警察は事務所と龍山組長の屋敷を家宅捜索した。ヘロイン発見には至らなかったが、
部屋に飾っていた日本刀の所持許可証を持ってなかった事を理由に龍山を逮捕した。そんなニュースだった。
「奴が・・・あの薄汚い野郎が、本当の仇なのか・・・」
でっぷり肥えた身体を飾る、ブランド品の服と貴金属。10億くらいかかってそうな白亜の豪邸。ガレージに
数台の高級外国車・・・遥を・・・いや、他にも何人もの人間の人生を滅茶苦茶にして得た金で贅沢三昧な
暮らしをしている龍山に、喩えようの無い怒りが湧いてくる。アルコールで濁っていた伊達の目に、ギラギラ
した光が戻った。立ち上がり、右の正拳を思い切り振り下ろす・・・小さな木製テーブルが真っ二つになった。
「・・・・独りで何処までやれるか分からんが、奴等を俺の手で始末してやる」
次の日から、伊達の荒んだ生活は一変した。まず汚れた部屋を掃除してゴミの山を始末した。
さぼってた筋トレを再開し、バランスの良い食事を摂って、弛んだ身体を鍛え直した。その一方で武器を調達
する。素人でも簡単に入手できる使えそうな物をネットで調べ、スリングショットと催涙スプレーとスタンガン
を購入した。軍の特殊部隊やゲリラが使うトラップの種類や効果的な使い方も調べて頭に叩き込んだ。
そんな毎日が続いた、ある夜の事。筋トレを終えてシャワーを浴びてから冷たいスポーツドリンクを飲んで
一息入れてた時、背後に人の気配を感じて振り向いた・・・長身痩躯で生気を感じない暗い瞳の男が立っていた。
強盗?でも、玄関の鍵は掛けといたはず。何処から入ってきた?しかも俺に気配も感じさせないで・・・
身構え、謎の侵入者を睨む・・・・瞬きをしたほんの一瞬に男は視界から消え、今度は伊達の背後に立った。
「何者だ、おまえ!?」
「・・・俺は神崎士郎・・・・おまえの内側で燃える黒い炎に魅かれた」
「・・・・・・・俺の黒い炎?」
「復讐を果たす為の力を貸してやろうか?」
「何故・・・・何故、俺の計画を知ってるっ!?」
「一部始終、見させてもらってた」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「哀しみに潰され落ちたままならそれまでだったが、おまえは這い上がって来た・・・見込みがある」
「何から何まで変わった奴だな・・・でも、ちょっと興味が湧いた。ゆっくり聞かせてもらおうか
 ・・・まぁ突っ立ってんのも何だから、そこに座りな」
とりあえず敵意は無さそうだ。それに彼の言う≪復讐を果たす為の力≫が何なのか聞き出したい。
その上で、もし使えそうなら利用してやる。伊達は、そう判断した。神崎にソファーに座るよう
勧めてキッチンへ行き、冷蔵庫から良く冷えたオレンジジュースを2本持って来て1本投げ渡して
から、自分も座って缶の蓋を開ける。神崎は座ろうともせず、ジュースに手もつけない。
「俺は≪強い願いを内に秘めてる者≫を探している・・・」
「強い・・・願い」
「俺の条件を聞き入れるなら、おまえに戦う力を与える」
「条件ねぇ・・・・聞かせてもらおうか」
「≪ライダーバトル≫に参加してもらう」
「ライダーバトル?」
「戦う力を持つ者・・・≪仮面ライダー≫が5人いる。その5人と闘え」
「その≪仮面ライダー≫とやらが、あんたの言う力か・・・他の5人て、どんな奴等だ?」
「・・・いずれ巡り合う・・・最後の1人まで生き残れたら、どんな願いでも1つだけ叶えてやる」
「・・・どんな願いでも?・・・」
「どんな願いでもだ・・・・・・もう1つ」
「何だ?」
「俺は俺の目的を果たす為に≪アンノウン≫と闘う戦力を必要としている。奴等を排除しろ」
「アンノウン・・・あの化け物と闘う!?」
暫く前、奴等の為に連日のように犠牲者が出て、嘆き悲しむ遺族の姿を何度となくテレビで見た。
最近話を聞かなかったが、また現れたのか?・・・大事な者がある日突然しかも無残な手段で
奪われる悲しみは、彼にとって他人事ではない。単に復讐を果たす手段が得られるだけでなく、
アンノウンの脅威から人々を救う事も出来る・・・同じ思いを背負う人達を少しでも減らせる。
だがライダーバトルとやらは?・・・面識も個人的な恨みも無い者と殺し合いをするのか?
自分の願いの為に他人を殺めたら、自分は龍山組の外道と同レベルの人間になってしまう。
もしも・・・信じがたい話だが、もしも自分が勝ち残って「遥を元通りにしてくれ」と願って、
それが叶ったとして・・・その為に伊達が両手を他人の血で染めたと知ったら、遥はきっと哀しむ
だろう。最悪の場合、新しく得た命を自ら断つかもしれない・・・伊達は激しく葛藤していた。
固く閉じてた瞼を開いて神崎を見る・・・何時の間にか物音1つ立てず窓際に立っていて、冷めた目
で夜景を見下ろしている。ふと思いついた。何より大事なのは、復讐を果たす為の力を得る事だ。
こいつの言う力ってのがどんな物かは解らんが、話を聞いた限り常識が通用しない想像もつかない強大な
物なのは間違いないだろう。それなら何としても手に入れなければ・・・こんな得体の知れない死神みた
いな野郎の言う条件など、律儀に守る必要は無い。受け入れたフリだけして適当に立ち回れば良いのだ。
そう決め、オレンジジュースの残りを一気に飲み干すと、勢い良く立ち上がって神崎に告げた。
「あんたの話・・・・・乗るよ」
「・・・そうか・・・なら、これを受け取れ」
神崎士郎はポケットから薄っぺらい箱のような物を出して投げ渡した。受け取って眺めたら、カードが
何枚も入ったケースだった。一見プラスチック製みたいに見えるが、かなり堅牢な材質で作られている。
「何だ、こりゃ?」
「変身アイテムのカードデッキだ・・・自分が映る物に向かって、それを翳せ」
「へ・・・変身だあ!?子供番組のヒーローかよっ!?」
「さっさとしろ」
「せわしない奴だな・・・・・こうか?」
右手に持ったカードデッキを窓に向ける・・・窓の中からベルトが現れ、勝手に腰に巻きついた。
少々の事では動じない伊達だが、立て続けに起こる常識外れな出来事に面食らい、呆然とベルトを眺める。
「発動キーワードに≪変身≫と唱えてから、カードデッキをベルトのバックルにセットしろ」
「・・・・変身・・・・」
今度はマスクとプロテクター付きスーツにグローブとブーツが飛び出して、伊達の全身を包み込んだ。
窓に映る自分の姿を興味深そうに眺める・・・妙なデザインのマスク。何処となく虫みたいだ。
スリットが入った目の周りの装飾とプロテクター以外はグレー一色である。これで強くなったのか?
試してみたくなり、トレーニングルームにしてる奥の部屋へ行って、ベンチプレスのバーベルを片手
で掴んで力を込めた・・・・100kgあるバーベルが、何の苦も無く頭上高く持ち上がった。
「これが・・・・≪仮面ライダー≫の力か!?」
「それはブランク体・・・まだ不完全だ」
「!?・・・・これで不完全だと!?」
「カードデッキから1枚抜き取れ」
「・・・・・ここか?」
言われるまま1枚抜き取って眺めた。光のような模様が描かれ「CONTRACT」と書いてある。
「契約・・・ここにハンコを押せってか?」
「・・・・窓を見ろ」
伊達の軽いジョークに何の反応もせず窓を指す。ちょっと寂しくなったが、考えたらこの男にジョークを言って
リアクションを求める方が間違ってるかもしれない・・・窓を見ると、そこには醜悪なモンスターが写っていた。
太く長い触角と見るからに鋭そうな牙。甲冑を纏ったような深緑色の全身。モチーフはカミキリムシだろうか?
身長は軽く2m半あり、見るからに凶悪そうだ。驚いて背後を見たが誰も居ない。奴は“窓の中”に居るのだ。
「こいつはエクサバイダー・・・ミラーワールドのモンスターだ」
「ミラーワールド?」
「鏡の中の世界・・・こいつを、おまえのパートナーにする」
「・・・しかしまぁ、ずいぶん凶暴そうな野郎だなあ・・・」
「ふっ・・・・おまえに1番似たイメージの奴を選んだんだがな」
「ほぅ・・・」
確かに、今の自分は修羅か地獄の悪鬼みたいなもんだ・・・奴への嫌悪感は、自分自身を見てるような
気がしたからかもしれないな。そんな風に感じた。エクサバイダーは、まるで威嚇しているように触角
をピンと立て、冷たい光を放つ眼でブランク体の伊達を睨みつけて、牙を開閉しながら低い声で唸ってる。
「1つ訊くが・・・もし、こいつとの契約を断ったらどうなる?」
「おまえは、この場で食い殺される。俺は次のライダー候補を探す・・・それだけだ」
「・・・そりゃ堪らんな。こいつと組むしか無いって事か」
「分かったら【CONTRACTカード】を奴に向けろ」
「こうか?」
言われた通りにエクサバイダーに向けたら、CONTRACTカードが眩い光を放ち、伊達の全身を包む。
そして彼の身体は窓の中に吸い込まれて行った。直に光は消え、辺りを見回すと足元だけボウッと
明るくて他には何にも無い、不思議な暗い空間に立っていた。目の前にエクサバイダーが立ってい
て、ブランク体の伊達をジッと見下ろしている・・・先刻までの殺気は感じられない。
「・・・聞いた通りだ・・・俺のパートナーになってもらおうか」
「シャシャッ・・・・ギィィィィィィィッ!!!!」
エクサバイダーが全身を光り輝かせながらゆっくり接近し、ブランク体と重なる・・・・
額にカミキリムシを模したようなデザインのマークが現れ、無地だったカードデッキにも同じマークが浮かぶ。
左の脇腹に3点式ベルトで固定されている召喚機【エクサホルスター】も、エクサバイダーの顔を模した形に
変形した。そしてグレー一色だったスーツが深緑色に変わっていく・・・身体の奥の方から途轍もなく強大な
パワーが湧いて全身を迸るような感覚・・・完全体に変身を遂げた伊達が、ミラーワールドから弾き出された。
無言で自分の身体を見つめ、今度は遥が使っていた鏡台の前に立って全身を眺めた。神崎士郎が例の如く無音
で横に来て、自分の【作品】を眺めている。無表情だった顔に、満足感とも何とも言えない表情が浮かんだ。
「これが・・・・・仮面ライダー・・・・」
「・・・・影だな」
「え?」
「おまえのイメージだ・・・暗闇から獲物を狙い仕留める、深緑の暗殺者・・・」
「・・・・そうか」
「仮面ライダーシャドウとでも名乗るか」
「・・・名前なんか、どうだっていい。好きに呼んでくれ」
伊達は居間に戻った。変身を解除し、ソファーに深々と座り込んで足を投げ出し煙草に火をつける。
突拍子も無い事が立て続けに起こって、さすがの彼も疲れてクタクタだった。神崎士郎が手つかずで
置いといたジュースを取って蓋を開ける。まだ冷たい。とても長い時間が過ぎたような気がするが、
実際はそんなでもないのだ。吐き出した煙の行方を目で追いながら、煙草の箱を神崎に突き出す。
「よ、あんたも1本どうだ?」
「いらん・・・・・龍騎・ナイト・ゾルダ・王蛇・ファム・・・・」
「あ?何だそりゃ?」
「5人の仮面ライダーだ」
「そうか・・・・」
「カードデッキを持つ者は、運命の糸に引かれ巡り合う・・・・その時は戦え」
「ああ、分かった・・・・ところでさあ・・・あんた、もうちょっと明るく振舞ったらどうだ?」
その言葉に対する返事は無かった。伊達が振り返ると、神崎士郎の姿は既に消えていた。
フッと溜息をつき、吸い終わった煙草を灰皿で揉み消してジュースを飲み干し、寝転んで天井を見つめ
ながら様々な想いに耽る。授かった仮面ライダーの力をどう生かすか・・・他の5人の仮面ライダーは、
どんな奴等か・・・神崎との約束を守る気は無いが、場合によっては戦わなければならんのか?・・・
もしも最後の1人になったら何が起きる?・・・そもそも奴は何者だ?・・・・
考えながら大きな欠伸をして目を閉じる。そのまま意識が急速に遠のいてくのを止める術は無かった。
 

アナザーファクト完全版2

 投稿者:ゾルダⅢ世  投稿日:2009年 6月29日(月)15時45分36秒
返信・引用
  【最後の男・2】

最初の宣告通り、ボディーだけに何十発もの正拳を叩き込んだ。気を失うと頬を張り飛ばしたり
近くの水道で水を汲んで来てブッ掛けたりして無理やり醒めさせ、そして再び拳の嵐。
サンドバックの如く滅多打ちにされ、運搬班リーダーは地獄の苦しみを味わって息絶えた。
両目をカッと見開いたまま、大量の吐血で作業着を染め、漏らした血尿で股間を濡らして・・・
死体の傍らで、伊達は自販機で買ったコーラを飲んで煙草を吸って、昂った神経を休めていた。
「だいぶ殺っちまった・・・もう、後戻りは出来んな・・・」
表面上は平静を装っているが、どんな大義名分があろうと大量殺人を犯して何にも感じてないはずが無い。
彼は運び屋グループのリーダーが推測したようなプロの殺し屋などではない。並の人間より少々腕っ節が
強くて空手が得意だが、他はいたって普通の一市民だ。あの日、あの時、あの場所に行ったが為に・・・・
醒めてから次の眠りにつくまで、あの日の悪夢のような出来事が日に何度もフラッシュバックする。

※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※

休日に妻の遥と2人で街へ買い物に出かけた。じきに生まれる新しい命を飾る為の服を買いに。
ソフトクリームを欲しがった遥をベンチに座らせて荷物を置き、自分は売店へ・・・
エンジンの咆哮・・・タイヤの軋む音・・・クラクション・・・そして悲鳴。
何事かと振り向いた眼に映ったのは、1台の車が暴走して人々を追いかけ、次々と跳ね飛ばす光景。
しかも、次のターゲットに選ばれて必死に逃げてるのは遥だった。臨月の大きな腹を抱えて走る事も
出来ず、怯えた表情でヨタヨタと自分の方へ歩いて来る・・・その後方に迫る車!!
伊達はソフトクリームを放り出して走る・・・だが、間に合わなかった。
母親の本能か?遥は咄嗟に車に背を向ける・・・撥ね飛ばされ、空中で弧を描いて地に叩きつけられた。
そのまま自分の方へ向ってくる車を横っ跳びに転がって回避し、遥の元へ駆け寄って抱き起した。
「遥・・・おいっ!!」
「・・・赤ちゃん・・・・赤ちゃんが・・・・・」
「大丈夫だ!!しっかりしろ!!」
「お願い・・・私の分まで・・・可愛・・・がって・・・」
「何言ってんだよっ!!気ぃしっかり持てっ!!」
「ぁ・・・・・・・ぐっ!!」
何か言おうとして大量の血を吐き、目を見開いたままガックリ首を垂れた。揺さぶりながら必死で
呼びかけるが、遥はそれきり動かなかった。一方、暴走車は電柱に正面衝突して止まった。ドアを
開けてよろめきながら出てくる男・・・目が窪み頬がこけて青ざめた顔。まるでゾンビだった。
意味不明な事を怒鳴りながらフラフラ歩く男を、学生風の3人連れが飛びかかって押さえつける。
男は駆け付けた警官に手錠をかけられてパトカーに押し込まれる時も、まだ何やら喚き散らしていた。
間もなく数台の救急車が到着し、被害者達を次々に運んだ・・・
遥も最寄りの大学病院へ運ばれたが、搬送先の救急センターに入った数分後には司法解剖に回された。

※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※

凍えそうになる真冬の夜だが、昂った身体と心は無性に冷たい物と大量のニコチンを欲した。
コーラを2本飲んで何本もタバコを吸って、伊達の心は何とか日頃の冷静さを取り戻す。
吸い終わった煙草の火を揉み消して携帯灰皿に入れ、大きく伸びをして首を捻りながら立ち上がった。
「さて・・・・証拠隠滅せにゃならんな」
最初に拷問した男から拝借して一緒に乗ってきたベンツ、凶器のスリングショットと鉄線・・・
磔刑に使ったワイヤー、返り血を浴びた革ジャケット・・・今飲んだコーラのペットボトルまで。
自分の痕跡が残る物を、全てミラーワールドに放り込んで処分しなければならない。
ヘロインを積んだトラックは、あえて残しておく事にする。この運送会社が普通じゃない事を警察に
解らせる為だ。徹底的に調査すれば、そのうち背後に組織が絡んでいる事が判明する。初公判を明日
に控えてる組織のリーダー・龍山を有罪に出来る・・・尤も、有罪確定以前に明日が奴の命日になるが。
そして死体の処理は・・・・伊達が考えるまでも無く、凶悪で冷酷なパートナーが始末してくれている。
カードデッキに触れると、ミラーワールドの凄惨な光景が目に飛び込んだ。かつて龍騎とナイトが苦戦を
強いられたカミキリムシ型モンスター・ゼノバイダーとテラバイダーを統べる同種族の王・・・
いや、ミラーワールドに何十種か生息するモンスターの中でも上位レベルの存在・・・名はエクサバイダー。
が“戦利品”を1体残さずミラーワールドに放り込んで片っ端から貪り食っている。
常に飢えていて殺戮と戦いに無上の喜びを感じる深緑の悪魔を、伊達は無言で見つめていた。
 

アナザーファクト完全版1

 投稿者:ゾルダⅢ世  投稿日:2009年 6月29日(月)15時43分49秒
返信・引用
  【最後の男・1】

湾岸の倉庫街が夜の闇に包まれていた。建物と建物の間に首都高速湾岸線が見え隠れし、
頭上を羽田発着の飛行機が行き交う。倉庫の1つに煌々と照明が灯り、5人の男達が
忙しそうに働いていた。フォークリフトが木箱を持ち上げては4tトラックに積み込み、
現場監督が従業員達に色々と指示を飛ばす。倉庫街ではありふれた零細運搬会社の光景だ。
だが、この会社の本当のオーナーは非合法組織だ。ごく普通の仕事もして警察の目を欺い
てるが、本業は密輸入した覚醒剤や密かに始末された者の死体の運搬である。良く見れば、
どの男達も不敵な面構えでカタギと思えない冷徹な光を目に宿しているのが分かる。
その光景を約100m離れた場所から双眼鏡で覗いてる、黒革ライダージャケット姿の
男がいた。傍らに、カタギではなさそうな男が1人・・・相当こっぴどく痛めつけられてる。
変形した鼻から血が止めどなく流れ続け、唇が腫れ上がって前歯が1本も残ってない。
そして片目に至っては完全に潰されていた。肋骨が何本か折れてるらしく、呼吸する度に
苦しそうに顔を歪めて喘ぐ。おまけに反抗と逃亡を防止する為に、両手の指を1本残らず
潰され、両膝の関節も砕かれている。どんなに屈強な者でも、ここまでされたら堪らない。
「場所・・・人数・・・リーダーの人相・・・トラックのナンバー・・・聞いた通りか」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「あんた、正直者だな。ちゃんと本当の事を吐いてたんだな」
「・・・てめぇ・・・・覚えて・・・・やがっ」
並の人間では見切れない速さで放たれた蹴りが男の顔面に炸裂し、メリッっと言う音が響く。
下顎が関節ごと粉砕されて、顔の下半分が真横を向いた。勢いで頸椎も砕け散り、哀れな男
は30年の生涯を終えた。ライダージャケットの男・・・伊達昌平は、惨殺体を一瞥して
から鋭い眼差しを倉庫の男達に向ける。人間1人を嬲り殺しにした事を、全く気に留めてない
様子だ。ポケットに突っ込んだ片手を出す・・・・深緑の本体にカミキリムシの顔を模した
模様が描かれたカードデッキが握られていた。伊達は煙草を出し、ゆっくり吸った。
「さぁて・・・潰すか」
目と鼻の先で仲間が非業の死を遂げた事に気がつくはずも無く、倉庫の男達は仕事に没頭して
いた。そして間もなく積み込み作業が終了し、ドライバーが現場監督に軽く会釈して運転席に
乗り込む。エンジンが咆哮し、トラックがゆっくりと倉庫を出発した。末端価格7億円相当の
ヘロインを地方の支部へ届ける事が今回の仕事だ。とりあえず一区切りついたので、男達の顔
に安堵の表情が浮かぶ。が・・・・次の瞬間信じがたい光景が起こった。
シュパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパアァァァァァッ!!!!!!!
空気を切り裂くような音と同時に、トラックの真ん中を一筋の閃光が貫いた。そして次の瞬間、
トラックが真中から真っ二つに切断される!!左半分は惰性で走って海に転落し、右半分は標識の
鉄柱に激突して横倒しになった。余りに現実離れした出来事なので目に映る光景を頭で理解できず、
男達はポカ~ンと呆けた顔して立ち尽くすのみだ。エアバックとシートに挟まれたドライバーは、
どうにかして外へ出ようともがいている・・・その前に、何処からともなく異形の怪物が現れた!!
身長が約2m半あり、街路灯の光を反射する身体は艶々の深緑。頭部から生える太い触覚は、弧を
描いて腰まで届いてる・・・怪物は悠然とドライバーに歩み寄り、まるで品定めでもするように全身
をジロジロと眺め回した。立て続けに降りかかる常識外れな出来事で、ドライバーは頭が混乱する。
そして怪物は、エアバックとシートベルトを鋭い爪で易々と切り裂き、ドライバーの胸倉を掴んで片手
で軽々と持ち上げ、一飛びで曲がり角のカーブミラーに向かう。彼はその時になって、やっと自分が
常識を越えた怪物に襲われてると実感した。悲痛な叫び声を残し、カーブミラーに吸い込まれる!!
「何だ、ありゃあっ!!?」
「鏡の中に・・・入った!?」
狼狽する他の男達・・・・その後方約20mの物陰で、潜んでいた伊達が立ち上がった。
防眼ゴーグルを着けてベルトのポシェットから鉛玉を1つ出し、スリングショットの玉受けに挟んで
力いっぱいゴムを引き、狙いを定め撃つ!!風を切って飛んだ鉛玉は、突っ立ってた1人の頭部に命中!!
食い込んだ鉛玉は頭蓋骨を打ち砕いて脳にまで達する!!音も無く狙撃され即死した仲間を見て、男達は
サイレンサー付きの銃で後ろから撃たれたと判断し、武器を取りに車へ走る。1丁ずつ拳銃を手にして外に
戻って暗闇に目を凝らすと、1人の人影が走り去るのが見えた。逃げる影は倉庫と倉庫の間にある細い路地に
飛び込む。ブーツの踵が地面を鳴らす音が遠ざかる。追いかけた男達は曲がり角まで来て止まった。
顔半分を出して、路地の様子を窺う。うっかり飛び込んだら、待ち伏せてる相手からハチの巣にされるかも
しれない。だが、狭くて暗い路地に人が隠れられるような物は何も無く、しんと静まり返ってるばかり。
3人は安全と判断し、急ぎ足で路地を進む・・・が、先を行く部下2人が弾かれたように立ち止まった。
そして小柄な方の男が、悲鳴を上げ顔を押さえて悶絶。顔の真ん中をザックリと真一文字に斬られ大量に流血
している。もう1人はさらに悲惨な事になっていた。長身が災いして喉を頸動脈までスッパリと斬られている。
呆然とした眼は「信じられない」と言いたげな表情だ。ヨロヨロと力ない足取りで2歩3歩後ずさりしてから
両膝をアスファルトに着き、そのまま前のめりに倒れ込んだ。壊れた蛇口のように噴き出した血で自らの身体を
染め、ピクピクと死の痙攣を繰り返す。もうどうにも助けようが無い。班長が2人が立ち止まった場所の空間を
凝視してみると、暗闇に紛れて剃刀のように研ぎ澄まされた極薄い鉄線が首の高さでピーンと張られていた。
「いてえええええええっ!!!!兄貴いいっ!!助け・・・助けて・・・」
「たいした傷じゃねえっ!!落ち着けっ!!落ち着くんだっ!!」
「ぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ・・・・・」
部下に檄を飛ばすが、自分自身も対処に困っていた。得体の知れない只者じゃない暗殺者。しかも、虚を突いた
奇襲と罠で襲ってくる・・・まさか、軍の特殊部隊経験者か?それに、さっきの化け物は何だ?
1人で太刀打ちなんて無理だ。事務所にいる仲間達を呼ぼうと携帯を出し、震える指でボタンを操作する。
≪・・・おかけになった番号は、電源が切られているか電波の届かない場所に・・・・≫
何時どんな事が起こるか分からない稼業だから、携帯の電源は絶対に切るな。24時間入れっぱなしにしとけ
普段から口酸っぱく言い聞かせ、それを忠実に守ってる部下なのに・・・。今夜は事務所に詰めてるはずだから、
電波が届かない場所に居るなんて事も有り得ない。訝しがりながら、今度は事務所の電話にかけてみる・・・
呼び出し音が鳴るばかりで誰も出ない。数キロ離れた街にある事務所は、もぬけの殻だった。既に襲撃された後
だったのだ。事務所に詰めていた運の悪い者達は、1人残らずミラーワールドに放り込まれて消滅していた。
そんな事を知るはずも無い班長は、事務所に詰めてるはずの仲間の番号に片っ端から掛けてみる。
≪・・・おかけになった番号は、電源が切られているか電波の・・・・≫
≪・・・おかけになった番号は、電源が切ら・・・・≫
≪・・・おかけになっ・・・≫
苛々が焦りに変っていた。組織に只事じゃない何かが起こっている。いったい何だ?
その時、背後に途轍もなく禍々しい気配を感じた。この世の者と思えない凶悪な何かが後ろに居る・・・
だが、その気配は一瞬で消えた。気のせいだったのか?立て続けに起こった悪夢のような出来事で神経が
過敏になってたのかもしれない・・・そう思って振り返ったら、たった今まで重傷で呻きながら座り込ん
でた部下が・・いや、喉を切り裂かれて死んだ部下の遺体までもが、跡形も無く消え失せていた。
「!?」
あの重傷で・・・もう1人は死んでいたのに、ほんの一瞬で何処へ?拳銃を構えながら路地を隅々まで
見渡すが、何処に消えたのか影も形も無い。ただ、彼らが流した大量の血が月明かりに照らされて黒く光る
ばかりだ。突然右手に耐えがたい衝撃と激痛が走り、握りしめてた拳銃がアスファルトに転がった。
頭上からスリングショットで狙撃されたのだった。呻きながらも左手を伸ばして拳銃を拾おうとしたところ
へ、傍の非常階段の踊り場から伊達が飛び降り、着地と同時に強烈なフックを見舞う。衝撃で脳震盪を起こし
てガックリと尻もちをついた班長の手首を掴んで無理やり立たせ、用意していたワイヤーで非常階段の手摺に
ガッチリと縛り付ける。反対の手首も同じように縛られ、運搬班のリーダーは磔のような状態にされた。
「あんたが【運搬班】のリーダーだな」
「・・・・・なら、どうだってんだ・・・殺るなら一思いに殺りやがれっ!!」
「そう強がんな・・・手下共の末路、冥土の土産に見物してけ」
「?」
「・・・あっちの窓だ」
そう言いながらポケットからカードデッキを取り出し、手に握らせる・・・
運び屋リーダーの目にミラーワールドの光景が映った。ボロボロに引き千切られた作業着が散乱する傍で、
先刻の怪物が引きずり込んだ部下を押さえつけ、鋭い牙で腹の肉にガツガツと喰らいついている!!
聞く者の心を引き裂くような断末魔の叫びが響き渡る!!・・・伊達がカードデッキをしまったので、悲惨極ま
りない光景はそこで途切れて見えなくなった。運び屋リーダーの精神は、生まれてこの方味わった事の無い恐怖と
絶望で完全に崩壊した。彼に出来る事は、全身を小刻みに震わせ歯をガチガチ鳴らして、傍らに立つ伊達を見つめる
事以外に残されてなかった。伊達は懐から1枚の紙切れを出し目の前に突き付ける。それは変色した新聞の切り抜き
だった。約3ヶ月前、覚醒剤中毒で頭が変になった男が車で繁華街を暴走して多数の死傷者が出た事件の記事だった。
地元の警察は男の所属する組織に目をつけ家宅捜索した。事前のタレ込みで目当ての覚醒剤は巧妙に隠したので見つ
からなかったが、組長の龍山は別件で逮捕されて今は東京拘置所にいる。確か明日が初公判だ。
「この事件、忘れたとは言わさん」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「テメェ等が垂れ流した薬で変になった野郎が、俺の妻を・・・生まれるはずだった新しい命を」
「・・・・助けて・・・・・・くれ・・・・・」
「【運搬班】のリーダー様にゃ、それなりの死に方をしてもらう・・・」
「助けてくれえええっ!!!!頼むっ!!命・・・命だ・・・」
返事の代わりに右ストレートが飛んで来て、顔の真ん中に叩き込まれた。前歯4本が砕け散り、上唇が裂け、
潰れた鼻から滝のように血が流れ出す。相手のどんな懇願も、受け入れる気は毛頭無いようだ。
「母親の本能かな?・・・咄嗟に背を向けてな・・・子供を守ろうとしたんだな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「結局、子供も死んじまったけどな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「奇跡的に頭と顔には傷が無くて綺麗だった・・・・体はボロボロだったけど」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「何が言いたいか解るか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」
「最期まで意識がハッキリしたまま・・・苦しんで息絶えたんだ・・・」
今まで無表情だった伊達の顔が、この時初めて憤怒の形相で歪んだ。目に激情の炎が燃え、握りしめた拳を
ワナワナと震わせる。恐怖に怯える以外に成す術が無い運搬班リーダーは、まるで閻魔の前の亡者だった。
「テメェの内臓・・・俺の拳で1つずつブッ潰してやらあっ!!!」
「ひ・・・ひいいぃっっ!!」
渾身の一撃目が右の脇腹に手首まで食い込んだ!!肋骨がヘシ折れる音が響き、身体を内部から抉られる
ような感覚が襲う!!形容しようのない苦痛で男はグウッと呻き声を洩らす。だが、本番はこれからだった。
一切の情け容赦が無いボディーブローが、男の身体に雨あられのように叩き込まれる!!7発目が鳩尾に
食い込むと同時に、夥しい量の血が食道を逆流して口から噴き出し、伊達の顔と革ジャケットに降りかかる。
それでも止めず、狂ったように殴り続ける。その姿は、亡者を責め抜く地獄の赤鬼そのものだった。
 

レンタル掲示板
/1